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ご近所さんとの
助け合いが重要!?
地域の防災

防災を意識して性能が高い家を選んだり、防災グッズや備蓄品を購入して災害に備えている人も多いのではないでしょうか?これらは「自助」にあたるもの。一方、防災の観点では、「共助」という、災害時に周りの人たちと助け合うことも命を守る上でとても重要な要素です。関東の1都4県では、近所に知人がいる人が46.5%という結果も…ここでは、地域の共助についてご紹介していきます。

共助力とは? まず大事なのはこの2つ!
「ご近所共助」と
「徒歩圏共助」

災害時に得られる援助として、「自助」「共助」「公助」の3つがあります。内閣府「防災白書」(2014年)によると、阪神・淡路大震災における生き埋めや閉じ込められた際の救助主体のうち、「自力で脱出」34.9%、「家族」31.9%という自助に次いで、「友人・隣人」28.1%と、共助によって命拾いをしている割合が高くなっています。大きな災害時においては、公的な援助を受けられるまでに何日もかかる可能性が高いため、住んでいる街の住民同士の助け合いがとても重要になってくるのです。

発災直後からインフラ復旧までの間、生き延びるために必要な2種類の共助をご紹介します。

図解1

1.ご近所共助

発災直後に、おもに自宅周辺で助け合うことができる力を示します。地震の場合、家具の転倒や建物の倒壊により下敷きになってしまうなど、動けない状態で公助もすぐに受けられない状況では、近隣住民による救助が必要になります。また、インフラや公共交通機関の停止も想定されますので、在宅している家族の安否確認をする上でも大切な助け合いになります。


※徒歩5分:救急車到着時間をもとに百年防災社で定義
※『不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)』である、「1分=80m」に基づき半径400m圏内と設定

2.徒歩圏共助

発災当日からインフラが復旧するまでの間は、避難所や在宅での避難生活が求められます。このときも、自治体やご自身で準備している防災用品を使用して生活するのはもとより、それ以外に情報収集や孤立を防ぐといった近隣住民との連携が求められます。特に、避難所間の情報共有はとても重要となるため、通信手段が途絶えている場合でも徒歩で行き来できる範囲として半径4㎞圏内(徒歩約1時間)での共助が必要とされます。

監修:百年防災社

図解2

あなたの住む
街は?
住民に調査!
地域の共助レベルは
どのくらい?

幅広い世代間の交流がカギ

1都4県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)の1076駅を対象とし、住民の共助力を調査。ランキングには戦前から長く人が住んできた街や、一度に多く人が移り住んでから住民がコミュニティを築き上げてきた古くからの分譲地が挙がっています。長期間、住み続けている層だけではなく、若者や新たに加わったファミリー層など、幅広い世代間の交流が活発な街のほうが、より共助力が高いようです。

図解3
SUUMO調べ
詳細は、こちら

あなたの
共助力をチェック!

あなたの共助力がどれくらいか診断!
設問は全部で10問。
ご近所の知人について、
それぞれの距離圏で
当てはまるものにチェック!

診断注目
助けられる
助ける力
ご近所
ご近所
徒歩
徒歩圏
01.
この距離圏に知人が住んでいる
02.
その知人の家がどこにあるかを知っている
03.
その知人の連絡先を知っている
04.
その知人とその家族が家にいる時間帯を知っている
05.
災害が起きたとき、自分の安全が確保された上で、
あなたはその知人やその家族を助けに行く
助けられる
助けられる力
ご近所
ご近所
徒歩
徒歩圏
01.
この距離圏に知人が住んでいる
※「助ける力」で回答した知人と同じでも、別の人でもOK
02.
その知人はあなたの家がどこにあるかを知っている
03.
その知人はあなたの連絡先を知っている
04.
その知人はあなたやあなたの家族が
家にいる時間帯を知っている
05.
災害が起きたとき、その知人は
あなたやあなたの家族を助けてくれる

あなたの共助力は

レベル1
発災直後の安否確認ができなかったり、インフラが回復する
まで自分自身の力だけで生き延びることになります。

共助力を高めていくために…

平日の日中、休日の夜など
時間帯・曜日によって
災害が発生した状況を
具体的に想像し、
書き出してみましょう!

自分自身の力だけで生き延びることができるのか見直すきっかけになります。
まずは、自助力を見直し、
備蓄品の整理をします。
次に、周囲との助け合いを広げるために家の近所にどんな風景が広がっているか、
どんな人が歩いているのか、
住んでいるのか、街を見渡すところからはじめてみませんか?

診断レベル1

あなたの共助力は

レベル2
徒歩圏内での情報収集や帰宅困難時の安全確保はできるでしょう。
一方で、発災直後の救出救護につながる安否確認ができない可能性があります。

ご近所共助を高めていくために…

隣人に挨拶を
してみましょう!

隣の家の人や、同じマンション内で
すれ違う人には
顔を見て挨拶を
することを続けてみましょう。
何回か会ううちに顔見知りになり、
挨拶以外の会話に発展し、
お互いに支援し合える
間柄になれるかもしれません。

診断レベル2

あなたの共助力は

レベル3
ご近所に助け合える関係性のお知り合いがいるのは安心ですね。発災直後の助け合いに役立ちそうです。一方で、少し遠くの地域に住む人との共助力が足りていないので、避難所の開設状況や物資の配給状況が分からなかったり、情報が遮断され孤立してしまう可能性もあります。

そんなあなたが、
さらに共助力を高めていくには…

商店街や地元個人商店
での
買い物の機会を
増やしてみましょう!

商店街や地元個人商店で
買い物をするなどして、
少し遠くに住む人と知り合うきっかけを増やしていきましょう。
日常生活でも、隣町のスーパーがお買い得といった情報が得られるかも?

診断レベル3

あなたの共助力は

レベル4
ご近所、徒歩圏ともに助け合える関係性のお知り合いが住んでいるのは素晴らしいですね。
発災直後から復興まで助け合いながら生き延びることができる可能性が高いです。

そんなあなたが、
さらに共助力を高めていくには…

家の前で出会った人に
挨拶をしてみましょう

一人でも多くの知人をつくって
災害時はもとより、
日常生活でも助け合える
地域づくりをしていきましょう。

診断レベル4

CASE A 自治体から住民へ
広がる知り合いの輪

20~40代が参加!つながりの輪の連鎖がどんどん広がる
渋谷区 「渋谷おとなりサンデー」

「渋谷おとなりサンデー」は区が提案する、個人や団体の形態を問わず、何かをしてみようという人たちのイベントをバックアップしていくというもの。ゴミ拾いやマルシェ、カフェでボードゲームなど、多種多様な活動をサポートしています。 開催が決定したらイベント詳細を運営サイトに投稿し、参加者を募集することができます。渋谷区民以外も参加可能で、参加者の多くは20~40代の会社員、特に子育て世帯の参加が多いようです。

CASEA
子育て中の母親たちが、地域に、そして生活の中に、つながりの輪をつくっていくことを目指して立ち上げた「代々木深町フカマルシェ」(画像提供/代々木深町フカマルシェ実行委員会、渋谷おとなりサンデー運営事務局)

渋谷という場所柄か、区内にある企業が主体となった企画も増加中。また、オンラインを活用したイベントも実施されるようになったことで、イベント参加は敷居が高いと感じていた人たちも参加しやすくなった様子。おとなりサンデーを通して、昔から住む人・新しく引越してきた人など住民の垣根を越えた交流が生まれているそうです。

CASE B 育児がきっかけ
住民みずから交流の場を

葛飾区、江戸川区、江東区を中心に活動する地元住民による地域コミュニティ 「ハハモコモひろば」

葛飾区、江戸川区、江東区を中心に、2009年ごろから、「母の会」として地域のママやその子どもたちの交流の場として始まったコミュニティ。 出産をきっかけに近所のママコミュニティでのつながりができた代表のナオさんは、育児に関する情報をママコミュニティ間で交換することの大切さに気づき、地域コミュニティを立ち上げたそう。育児に関する座談会から、育児とは一見関係のないボイストレーニングの講座、さらにはブース出店をし、親子で楽しめるような地域イベントを実施するなど、幅広く活動。コロナ禍では、ZOOM体験を兼ねたママ交流会をオンラインで開催したり、動画の制作講座を開くなど、オンラインならではのテーマで活動を続けています。 さらに、「パパママ防災講座」と題し、防災をテーマにした講座も開催。育児だけではなく、災害時における情報もコミュニティ間で情報交換していくことで助け合いにもつながるとして、今後もさまざまな交流の機会をつくっていきたいそうです。

CASEB
2018年に行った「パパ・ママ水害講座」の様子(写真提供/ハハモコモひろば)

CASE C 企業とマンションと地域町会をつなぐ

企業が主体となりマンションと地域町会の連携を進める事例も

マンションの場合、災害時は在宅避難が基本とされるため、マンションごとに備蓄品を用意するなど、マンション管理組合内での防災を意識した取り組みは近年増加傾向にあります。さらには、マンション内だけでなく町内会との連携を進める取り組みに力を入れているマンションデベロッパーもあります。災害時、行政からの物資は避難所に届くためマンション居住者も避難所まで受け取りにいく必要がありますが、事前に連携が取れていないと混乱を招きスムーズに受け取れないことも想定されます。マンション内のつながりだけでなく、外の住民とのつながりをもつことも大切です。