クレストシティ鎌倉大船サウス （取材レポート）

「鎌倉シャツ」こと、メーカーズシャツ鎌倉は1993年に創業。上質な日本製のシャツやビジネスウェアを販売している。地域に貢献する企業となる転機が訪れたのはある言葉がきっかけだった。

「北鎌倉の浄智寺の住職にお会いした時に、こう言われたんです。『企業の役目は、人の役に立つこと。あなたたちには鎌倉という屋号がついているけど、街のために貢献してるの？』。社員一同が雷に打たれたようになりました。これまで私たちはアパレルメーカーとして日本をはじめ世界で働くビジネスパーソンに向けて品質の高い製品を提供してきました。地元よりも外側に目を向けていたんです。我々が固まっていると住職は笑顔で『ところでね、鎌倉に作務衣を売っているところがないんだけど、君たち服つくれるんだから、いい作務衣つくってくれない？』と言われました。私たちは鎌倉の方の役に立つチャンスをいただいたと思い、作務衣づくりがスタートしたんです」。

鎌倉にある様々なお寺の意見等を採り入れ、試行錯誤しながらつくりあげた作務衣は現在、鎌倉シャツを代表する一着になった。寺院のみならず、地元企業や店舗スタッフにも愛され、鎌倉観光協会では名入れをして鎌倉駅西口広場清掃の際に着用しているという。

「これからも鎌倉の人を応援していきたい。地元の企業として、ようやくスタートラインに立てたというという気持ちです」と、宮崎さんは晴れやかに語った。

鎌倉市初のビール醸造所で、クラフトビールを製造・販売している鎌倉ビール。湘南モノレールと共同開発した「開業50周年特別記念ビール」や、鎌倉女子大とのコラボビールといった話題性の高い取り組みや、サッカークラブ〈鎌倉インターナショナルFC〉を、パートナーとして支援するなど地元とのつながりも深い。同社の活動について、営業部の宮野さんが語ってくれた。

「私たちは鎌倉で創業した会社です。前身は大正時代から街の酒店。地域の方からは街の「よろずや」として親しまれていました。そこでは近所の方が集まり、お酒を飲みながら楽しい会話が交わされていた。そして1997年にクラフトビールの会社として創業してからも、変わらずに地域の人たちが支えてくれました。そんな私たちだからこそ、地元に貢献していくのは当然だと考えています」。

2023年夏、〈鎌倉インターナショナルFC〉のホームスタジアムである「みんなの鳩サブレースタジアム」では、「鳩スタ祭2023夏」が行われた。そこにはグラウンドを走り回る子どもたちの姿や、芝生に座って乾杯をする大人たち、おしゃべりを楽しむ年配の方々の姿があった。

「私たちも出店し、ビールを提供しました。スタジアムには大勢の人が本当に楽しそうに集まってくるんですね。地域の人とつながり、楽しいことを共有できる場が今も昔もこの街にはある。これからも、鎌倉で共に街を盛り上げていきたいと思います」。