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自宅内に本格茶室を開き、茶の湯を広める

開いたスペースとオーナー

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自宅内に本格茶室を開き、茶の湯を広める

外観は一見ふつうの一軒家。しかし、住居用の玄関に併設されたもうひとつの扉を開けると、そこには本格的な茶室がしつらえられている。3年前に自宅の一部を改築し、新たに設けた8畳間の茶室「円庵」。茶道家のSさんはここで、週末を中心に茶道教室を開いている。

「茶道教室自体は10年目になります。この茶室ができる前は2階の和室で開いていました。ただ、そこは茶室専用の部屋ではなかったので、正式な作法や流儀に則った稽古ができなかったのです。そこで3年前に実家をリフォームするのを機に、使っていなかった1階の土間スペースに茶室を造ることにしました」

中学生のころ、習い事のひとつとして始めた茶道。その後、30代で本格的に茶の湯の道へ。当初はママ友4~5人だけの集まりだったが、口コミで広がり、今では15人の弟子を抱えるまでになった。

「茶道家として生きていく覚悟ができたのは5年ほど前。生徒の数が増えてきたことで、これはもう足を洗えないなと(笑)。最初は、働きながらたまに教室を開くという感じでしたが、外の仕事を少しずつ減らして茶道メインにシフトしていきました」

いつしか茶道は趣味の枠を超え、生涯の仕事でありライフワークになった。
しかしその一方で、今も週に2、3日は外に働きに出ているという。茶道とは全く関係のない仕事を続ける理由についてSさんは「お茶一本では収入的に厳しいということも正直ありますが、茶の湯という特殊な世界にどっぷり浸かると一般的な社会性が麻痺してしまうので、外の世界に触れることでバランスを取るようにしています」と語る。

生活の糧を得ると同時に、社会との接点をもつための「外の仕事」。そして、茶道を通じて自己実現を図るための「内の仕事」。2つの世界を絶妙なバランスで行き来する。そんな、多忙ながらも充実した毎日をSさんは過ごしている。

  • 山形の専門大工が手がけた
    こだわりの茶室
    もともとは物置きだったスペースに造った1階の茶室。山形の茶室専門の職人が、数カ月東京に滞在して手がけた。自身の茶道教室だけでなく、知人が教室を催す際などに貸し出すこともあるという。
    山形の専門大工が手がけたこだわりの茶室
  • 教室の日は週2~3回朝から生徒を出迎える
    教室の日は週2~3回
    朝から生徒を出迎える
    身支度を整え、招待客がそろうのを待つ「寄付」も備えた本格的な造り。教室は週に2~3回程度。朝の10時からここを開放し、集まってくる生徒を出迎える。人数が多いときは16時くらいまで稽古を行うという。
  • 茶室専用の入口を設けることで
    プライベートな空間を守る
    向かって右側が家族用の玄関、左側が茶室の玄関となっている。リフォームで入口を2カ所設けたことで、家族の生活の場を経由することなく生徒を茶室に招くことができ、公と私を完全に分けられるようになった。
    茶室専用の入口を設けることでプライベートな空間を守る
  • 30代で茶道家の道を決意生涯を賭する仕事に
    30代で茶道家の道を決意
    生涯を賭する仕事に
    35歳のとき、親戚から簡易的な茶道具一式を譲り受けたことが、本格的に茶道の世界に入るきっかけのひとつになったという。中学生で始めた当初は花嫁修業のひとつに過ぎなかったが、今では生涯の道になった。
  • とにかく道具が多いため、茶室のバックヤードにはたっぷりの収納が設けられている

    とにかく道具が多いため、茶室のバックヤードにはたっぷりの収納が設けられている

  • 床の間の床下にも収納が。ここには、炭手前で使用する炭を収納している

    床の間の床下にも収納が。ここには、炭手前で使用する炭を収納している

  • 茶道教室は月6、7回開催。近所の40代の主婦が中心で、中学生の生徒もいるという

    茶道教室は月6、7回開催。近所の40代の主婦が中心で、中学生の生徒もいるという

  • 専用の茶室を持ったとき「初めてスタートラインに立てたと思った」とSさん

    専用の茶室を持ったとき「初めてスタートラインに立てたと思った」とSさん

かかった費用は?

茶室の改築費用におよそ1000万円程度。

アドバイスとこれからの展望

自宅を改装して茶道教室をやるなら茶室専門の大工さんに頼むのが一番ですが、今は大工さんの数自体が少ないですし、ハッキリ言って料金も高いです。もし、専門外の業者にお願いをする場合は、茶道の流儀と作法をしっかり踏まえつつ、茶事の際の動線もしっかり考えた設計になるよう要望を伝える必要があると思います。
また、自宅でやる場合、誰でもかれでも出迎えるのはあまりよくないですね。自分や家族の生活を守るためにも生徒さんはある程度、限定したほうがいいと思います。私の場合も、いちげんさんはお断りして、どなたかのご紹介を通した方のみお受けしております。これからも、そうした身近な縁をつないで、茶道を広めていきたいですね。

間取りとDATA

間取り1

空いてるスペース

施主名 K.Sさん
構想期間 1年
開いているスペースの面積 約13m²
開いているスペースの% 約20%
住所 東京都文京区
建物形態 一戸建て

取材・文/榎並紀行<やじろべえ> 撮影/藤本和成 間取図イラスト/tokico

情報掲載日/2013年10月9日

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メディア掲載履歴

2013年11月28日
TBS「Nスタ」で紹介されました。
2013年10月19日
「“自宅で自分らしく働く”ワーキングスタイル&マネー術」公開セミナーを開催しました。

一覧はこちら

更新情報

2016年6月15日
【実例追加】 近隣住民も集う マンションの日曜喫茶
2016年5月25日
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2016年4月28日
【実例追加】 住人、地域をつなぐマンション内の名物マルシェ
  • 住活マニュアル 賃貸部屋探し編
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