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割高物件の見分け方は?何号室がおトク? 新築マンションの価格はこうやって決まる!

同じ最寄駅でも価格が違ったり、なぜか相場よりもやや高めの物件があったり、同じマンションで階数や広さが同じでも、住戸によっては数十万円違ったり……。高い物件には高いなりの理由があるし、安さにもそれなりの理由はあるはず。とはいうものの、割高な物件は買いたくないもの。今回は、新築マンションの価格の成り立ちについて理解することで、物件選び、住戸選びの参考にしよう。

アドバイスしてくれた人

住宅コンサルタント 平賀功一さん

長年の分譲マンション販売歴を生かし、1999年マンション事業のコンサルタントを行う「e住まい探しドットコム」を設立。ネット上で住宅購入を検討中のユーザーに対してカウンセリングを行うほか、住宅セミナー講師や住宅ポータルサイトでのコラム執筆なども行っている

目次
まずは価格の内訳を知ろう
長い目で見れば、「都心」「駅近」が割安に?
目に見える要素で建築コストに差がでる
最もコストパフォーマンスが高いのは「中規模」マンション
土地代も建築コストも上昇傾向。今後どうなる?
各住戸を点数化してそれぞれの価格を決める
目玉物件はあっても掘り出し物件はない!?

まずは内訳を知ろう

 新築マンションの価格のコスト内訳を分解してみると、「土地代」「建築コスト」「販売経費」「利益」に分けられる(右図参照。割合の数字はあくまでも一例)。こうした計算は、いわば「原価積み上げ法」といい、。土地代や工事費に利益や経費を加えると、いくらの販売価格になるかという単純計算をしたものだ。実際には、同エリア内で過去に販売された分譲マンションの価格を参考にしながら価格を算出する「取引事例比較法」や、家賃相場からどれくらいの家賃収入、つまり利回りを得られるかで分譲価格を考える「収益還元法」なども併用し、マーケティングの手法で価格調整をする。「実際は用地取得前に算出します。例えば土地代をこれくらいと見積もっても、過去事例や周辺の家賃相場から計算した分譲価格と比較すると、利益率が5%くらいにしかならない場合、用地取得を取りやめることもあります」(住宅コンサルタント・平賀さん)

新築マンション価格の内訳(目安)

※都内ファミリー向け中高層マンションの一例
(資料提供:e住まい探しドットコム)

長い目で見れば、「都心」「駅近」が割安に?

 コスト内訳のなかで最も物件価格に占めるのが「土地代」。そのため、都心立地であったり駅からの徒歩時間などによって土地代(用地取得費)が大きく変わることで、当然、分譲価格も変わってくる。「新築分譲マンションなら、駅から徒歩15分以内でないとなかなか売れないというのが“業界の常識”。今や徒歩10分以内であっても、必ずしもプラス材料にはなりません」と平賀さん。つまり、マンションと駅距離には“それだけ”密接な関係があるということだ。
 しかし一方、見方を変えれば、徒歩15分超のマンションは価格がぐっと安くなるという意味でもある。都心立地や駅近物件には、価格は高くなる半面、中古になっても価格が値下がりにくく、また、高い家賃収入が期待できるメリットがある。駅からの距離を気にせず分譲価格そのものの割安さを重視するか、あるいは、販売価格そのものは決して安くないが、長い目で見た「資産価値の下がりにくいマンション」を割安と考えるかで、消費者の選択行動は変わってくることになろう。
 また、土地コストは用地取得の経緯によっても変わってくる。「例えば、土地がグループ会社からの払い下げという経緯なら土地代は安く済みますが、一般競争入札だと高く設定しないと落札できないので、その分、土地代は上昇しがちになります」(平賀さん)。これからは、土地取得の経緯を気にすることも、失敗しないマンション購入には欠かせなくなってくるといえそうだ。

マイナス要因の環境/工場、風俗店やパチンコ店がある歓楽街、ゴミ集積場、祭儀場の近くは敬遠され、土地代も安くなる。また交通量の多い幹線道路や線路沿いの立地も同様 プラス要因の施設/駅前の再開発エリア内のランドマーク的なマンションは相場も高くなる傾向に。大型公園や海などに隣接し「将来も眺望が変化しない」立地もプラス評価
最寄駅までの徒歩時間/駅から近ければ近いほど価格は高くなるが、同じ駅でも北口と南口で人気に差がある場合も。総じて商業施設が充実している側が人気がありプラス評価

目に見える要素で建築コストに差がでる

 土地代に続き、今度は建築コストを分解してみると、コストの高い順に、内装や外装といった「仕上げ材費用」、電気や給排水設備など「設備費用」と続く。「実は、コンクリートや鉄筋など目に見えない躯体部分よりも、目に見える仕上げ部分の工事費は高くなります。外観を例に取れば、吹き付け塗装よりもタイル貼りのほうがコストがかかり、高級マンションのほとんどはタイル貼りであることから、そのコストをかけた分が分譲価格に転嫁されているという仕組みです。内装や設備も同様。グレードの差は、床や建具の材質、設備の差といえるでしょう」(平賀さん)

建築コスト(工事原価)の内訳

※都内ファミリー向け中高層マンションの一例
(資料提供:e住まい探しドットコム)

最もコストパフォーマンスが高いのは「中規模」マンション

 「豪華な共用施設がなければ、1戸当たりの建築コストが最も安いのは、ズバリ、100世帯程度の中規模マンションでしょう。管理費同様、スケールメリットがあるので1戸当たりの負担が安くすむからです」と平賀さん。静かな住宅街に建つ低層マンションは世帯数が少ないためどうしても1戸当たりの負担は多くなるし、大規模でもタワーマンションの場合は、耐震性を上げる構造や高速エレベーター、防災・防火設備など、全体の建築コストもふくらむからだ。

土地代も建築コストも上昇傾向。今後どうなる?

 公示価格の上昇など、「バブルの再来か?」といったニュースが各媒体で取りざたされている。実際に、都心の一部では入札価格が高騰、その影響が郊外にも飛び火し、各デベロッパーが用地取得に苦戦している。その上、建築コストも上昇傾向にあり、「競争論理で安値合戦になると自分の首を絞めかねないため、工事を請け負う施工会社(いわゆる「ゼネコン」)が安値受注しなくなっている」(平賀さん)という事情が建設コストの引き上げ圧力となっている。また、ステンレスなどの鉄鋼価格も高騰しており、さらなる資材コストの値上げも懸念材料だ。
 ただ最近では、公示地価にみるような地価の反転を受け、「販売時期を後ろ倒しにしたほうが、高めに売れる」と期待したデベロッパーの思惑で、「売り渋り」なる現象が現れている。事実、首都圏では昨年、新規供給数が8万戸を割る事態を招いた。「しかし、これ以上、価格が上がったらエンドユーザーはついていけず、購入気運自体が冷めてしまう危険性があります。そうなると、各デベロッパーも困るでしょうから、強気販売(価格上昇)にも限界があるでしょう」(平賀さん)

新築マンションの相場推移

※不動産経済研究所のデータをもとに住宅情報ナビ編集部が、
1997年の坪単価を100%として試算

各住戸を点数化してそれぞれの価格を決める

 同じマンション内の価格を決める場合は、まずは中住戸、中層階のまんなか住戸を基準価格とし、この基準価格をベースに、階数、向き、位置などの違いにより、マイナス・プラス評価をし、各住戸を点数化するのが基本。目の前の建物の影響で3階までの眺望がぬけないなら3階と4階の価格差を大きくしたり、駐車場や駐輪場からの通り道になる住戸の前は安くするなど、各住戸個別の要素を加味して調整していく。「例えば、都心のタワーマンションなら、北向きでも東京タワーがきれいに見える上層階なら強気の価格を設定するなど、最近は眺望を重視した価格設定が見られます」と平賀さん。また、南向きと西向きの2棟があるなら、不利な西向き棟をシングル向けのコンパクト物件にしてぐっと価格をおさえるなど、デメリットを逆手にとったプラン戦略をとる場合もある。

各住戸を点数化してそれぞれの価格を決める
向き/南向き→東南・南西向き→東向き・西向き→北向きの順に価格がだんだん安くなる。西向きは日が差すのは遅いが、実は日照時間が長いので、シングル向け。
プラス要因/中住戸よりも角住戸のほうが風通しや日当たりよく、価格は高い。さらに、ルーフバルコニー付きなど希少価値のある住戸は高く設定される場合が多い。
階数/眺望や日当たりに恵まれた最上階が最も高く、上からの音が気にならない。1階はセキュリティ面で不利だが、専用庭や専用駐車場などプラスαの売りがある場合は2階住戸より高くなる場合も。
周辺建物/目の前が線路や幹線道路なら低く、一戸建てばかりの住宅街で、将来も眺望が変わらないなら高く設定される。夜間は閉鎖されるような大きな公園に隣接するならプラス評価だが、夜に若者のたまり場になるような公園ならさほどプラスにならない場合も。
マイナス要因/駐車場や玄関ホール、エレベーターといった共用部分に近い住戸は便利だが、音が響いたり、プライバシーでいまひとつなので、価格設定は低め。

目玉物件はあっても掘り出し物件はない!?

 売る側としては、上層階だけ、低層階だけというように特定の住戸ばかりに申し込みが集中するのは失敗で、1戸に1世帯の申し込みがある「倍率=1倍」が理想形。たとえばスーパーであれば、売れ残ってもタイムサービスで値引き販売すればいいが、マンションはそうもいかない。それだけ、偏りなく万遍に売らなければならないのだ。
 そのため、「例えば“2980万円〜”というように、顧客の目を引くための“目玉商品”をつくることがあります」と平賀さん。集客のための、苦肉の策だ。「しかし、実際は北向きの狭い物件というように条件の悪い住戸のことも少なくなく、安い住戸には安いなりの理由があることを忘れないようにしなければいけません。つまり、新築マンションの場合、掘り出し物件はなかなか見つかりにくいというわけです」(平賀さん)。
 ただ、それも考えようで「どうせ日中は家にいないから、日当たりは気にならない」「駅から近ければ少々うるさくてもいい」など、デメリットがあっても自分の「住まい観」にあった安い物件なら、その人なりの「掘り出し物件」となることもあるだろう。

情報提供日:2007年8月22日
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