住宅ジャーナリスト
大森広司さん
『住宅情報マンションズ』『住宅情報タウンズ』等で、住宅問題全般にわたって取材・執筆活動を行う。主な著書に『はじめてのマイホーム 買うときマニュアル』(日本実業出版社)、『新築マンション 買うなら今だ!』(すばる舎)などがある。総合情報サイトAll About(オールアバウト)「はじめてのマンション購入」のガイドでもある
http://allabout.co.jp/house/
mansionbeginner
太陽の光がキラキラ差し込む、明るくて暖かい部屋――。
「日当たり良好」物件は、3年連続ダントツトップ!(※)でも、日当たりのよさは本当にそこまで大事な条件?日照についての「ヒカリと影」を徹底リサーチしました!
※「2006年首都圏新築マンション契約者動向調査」(リクルート)より
不滅の南向き神話。その理由は「明るさ」「暖かさ」「清潔感」
分譲マンションを探す際に思い描いた「暮らし方のイメージ」も、約25%の人が「日当たりのよい生活」と答えています。
「日当たり良好」物件の人気の最大の理由は「明るさ」。今までガマンしていた日照を、購入物件では絶対手に入れたい!という気持ちもあるようです。光熱費高騰の昨今では、冬の暖かさも大きな魅力。また、「洗濯物はやっぱり日干ししたい」「光が入らないと部屋の中がじめじめする」など、衛生面からも太陽の光は譲れない条件なのかもしれません。
「南向きにこだわったのは、こんな理由」
- 日当たりは後から変えたくても、間取りのように変えられないから。 洗濯が好きなので、絶対南向きの物件でないと、と思っていたから。(女性・30歳)
- 子どもが生まれて日中家にいることが多くなると思ったから。(男性・32歳)
- 以前のアパートがカビだらけで、かなりいやな思いをしたから。(男性・35歳)
- 以前日が当たらない物件に住んでいて、冬の電気代が物すごくかかった経験があり、 それ以来、日当たりがよいところの物件を選ぶようにしているから。(女性・36歳)
「私たち、南向きにはこだわりませんでした」
- 高層マンションなので、北向きでも日当たりはよいから。(男性・36歳)
- 共働きで日中はいないので、朝だけ日が当たればいいと思った。(男性・45歳)
- 全く当たらないのは問題だけど、少しでも日照時間があればよいと思った。価格の面で妥協した。(女性・34歳)
- 海沿いの眺望を重視したので、西日が少し入るくらいの角度で、きれいな海の眺望が見られるように配慮した。(男性・36歳)
※リクルート住宅情報ナビ 2007年12月調査より
「南向き」、本当に必要ですか?
多くの人がこだわる「日当たり良好」物件ですが、南向きにこだわると価格はアップし、人気があるため抽選にはずれる可能性も高くなってしまいます。また夏の暑さもデメリット。特に日中在宅しない場合、部屋は閉めきったままで放熱されないため、夜になってもコンクリート等に蓄えられた熱でかなりの暑さ。寝苦しさのあまりエアコンが手放せず、光熱費の出費がかさむという状況になる可能性もあるでしょう。
そこで、あえて「南」を捨ててみてはどうでしょうか。大切なのは、「ライフスタイルに合った日当たり」です。共働きで日中家に誰もいない世帯なら、昼間の日照はあまり必要ないでしょう。日当たりにこだわらずに考えれば、価格は抑えられ、その分の予算を「広さ」や「セキュリティ」など他のスペックに充てることができます。日当たりよりも優先させることがないかどうか、今一度見直してみましょう。
また南向きでなくても、南向きと同じ程度の快適さを実現できる部屋もあります。もし「明るさ」を求めているのであれば、例えば高層タワー物件の高層階なら、周りにさえぎるものがないので、南向きでなくても十分部屋の中は明るいでしょう。窓の大きさもポイントです。南向きは冬の「暖かさ」も魅力ですが、左右に隣住戸があれば蓄熱効果で熱が逃げにくいため、南向き以外の住戸でも一戸建てに比べて暖かいケースもあります。
日当たり良好物件、ねらい目は「都下」!?
どうしても南向きを!と考える方にとって、気になるデータを発見。東京都下では「南向きを買った」と答えた人が、実に約53%も!他県の30%台と比べても図抜けた数字です。都下には南面の崖地が多く、また有名な“国分寺崖線”(※)に沿って建てられた物件は南向きになるケースが多くなります。都心に向かって東西に延びる道路沿いにも、南向きが建てやすいという事情があるでしょう。また、都下で購入する人は良好な住環境や資産価値の落ちにくい物件を重視する傾向があるので、必然的に南向きを選ぶ人が多いのではないかとも推測されます。
※国分寺崖線:立川市から国立、国分寺を通って世田谷区、大田区まで続く段丘。長い年月をかけて多摩川が武蔵野台地を浸食して形成された
日当たり物件を探す方法
それでもやっぱり、日当たりのいい部屋に住みたい! そんな場合の上手な物件探しのポイントは4つ。
- 模型チェック&現地に足を運ぶべし
モデルルームは現地と異なる場所にあることがほとんど。また、同じマンションの中でも部屋や階数によって日当たりは異なります。モデルルームに置いてある全体模型で希望する部屋の場所をチェックし、現地に足を運んで自分の目で日当たりを確認しましょう。 - 「日影図」を見せてもらう
モデルルームに行った際、不動産会社のスタッフに日当たりを確認しましょう。口頭で教えてもらうだけでなく、「日影図ありますか?」と聞けば、立面図に日照の角度や時間を示したものや、物件にかかる周囲の建物の日影図を見せてくれるでしょう。また、南側に空き地がある場合などは、現況の日影図だけでなく、「隣に法律上許される最大の建物が建った場合の日影図」を見せてもらうと確実です。 - 「目の前の空き地」は要注意
階数や目の前にさえぎる建物などがないこと等も日当たりに影響します。特に購入時に目の前が空き地や畑の場合は要注意。その後何が建つかわかりません。スタッフに、今後何が建つ予定なのか確認するようにしましょう。 - 早めに動く!
人気の日当たり良好物件ほど早く売れてしまうのは当たり前。だからこそ常日頃から物件情報をチェック。販売予定の気になる物件を見つけたら、不動産会社に積極的にアプローチします。会社によっては早期の優先枠を設けている場合がありますから、購入のチャンスはぐっと高まるはずです。
イラスト : トリゴエモトコ
