住宅問題ジャーナリスト
山下和之さん
1952年生まれ。75年同志社大学を卒業し、編集制作プロダクション入社。各種雑誌などの取材・原稿制作に携わる。86年独立後、90年株式会社山下事務所を設立。住宅・不動産分野を中心に、専門紙誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種セミナーでの講演など広範に活動中。
主な著書に『よくわかる不動産業界』『一戸建て住宅の買い方・選び方』(以上日本実業出版社)、『マンションを買うときの基礎知識』(ぱる出版)、『住宅ローン完全ガイド』(ビジネス教育出版社)、『住宅ローンが危ない』(以上平凡社新書)などがある。
オールアバウトの「新築マンション情報 都心」ガイドもつとめる。
http://allabout.co.jp/
house/kkgmansiontoshin/
一戸建て購入の際には欠かせない物件見学。素敵な家に一歩足を踏み入れたら、誰しもワクワク。勢いでつい「これに決めた!」なんて気分にも…。でもちょっと待って!もっと見てからのほうがいいのでは? 一戸建ての物件見学は何件くらいが妥当なのでしょうか。最低でも見ておきたい見学件数と見学の際に見逃してはいけないポイントをチェックしていきます。
※「2007年首都圏新築一戸建て契約者動向調査」(リクルート)より

少なくとも10件くらいは見てみよう
首都圏では、一戸建ての住宅見学総数は「11〜20件」が圧倒的に多く、これは、2004年からずっと変わらない結果です。次いで多いのは「6〜8件」。平均見学件数は14.2件となっています。
「何件見学すれば納得できる?」
- 10件以上見ればだいたいの家の設備や外装などの流行や自分の必要な物・不必要な物のことが分かると思う。(女性・ 35歳)
- 見学する前に色々計画していれば、あまり多く見る必要はない。(男性・34歳)
- 物件も縁だと思うので、人によって件数は違うと思う。自分が納得いくまで選べばよいと思う。(女性・31歳)
- 最低でも10件くらいは見ておいたほうがいいと思いました。一生に一度するかしないかの大きな買い物なので。(女性・29歳)
- 10件くらい見学して購入に至ったが、やはり購入後に気づいた点がいろいろと出てきたのでもう少し件数を見て、研究したほうがよかったと思っている。(男性・41歳)
- 価格、デザイン、環境、建て方など、数多くいろいろな物件を見て一番バランスの取れた買える物件を探すことが大事。(男性・43歳)
- 見れば見るほど賢くなる。一生に一度の購入予定なので、時間が許す限り見てまわりたかった。(女性・31歳)
- 40件ほど見て、物件の相場・家のつくりの良し悪しが分かるようになった。(女性・29歳)
※リクルート住宅情報ナビ 2008年6月調査より
複数の物件を見て勉強&比較することが大事
一戸建ての見学数、平均14.2件は妥当な数だと思います。実際のところ、住宅選びにおいては何件見れば正解というのはありませんが、複数の物件を見て比較することによって、確かな情報を得ることができます。
しかし、ただ漫然とまわるだけでは、10件見ても決めるのは難しいでしょう。
家を見始める際は、まず住宅展示場へ行ってみるのがおすすめです。ここでは住まいに関する勉強をするつもりで、一戸建ての工法の種類やその特徴、価格などを一通りチェックします。
一戸建てには、大きくわけて3種類の工法があります。木造軸組工法(在来工法)、2×4(ツーバイフォー)工法、プレハブ工法。そして、プレハブ工法はさらに、木質系、鉄骨系、ユニット系、コンクリート系にわけられます。それぞれの工法にはメリット、デメリットがあり、工法が違うことで、金額、工期、設計の自由度などさまざまなことがかわってきます。
次に住宅展示場でチェックした点を踏まえて、実際の物件を見ていきます。購入したいエリアをひとつの駅に限定してしまうと物件数が限られてしまうこともあるので、希望する沿線の複数の駅で物件を見るとよいでしょう。
また2〜3戸のみの小規模開発、20〜30戸の中規模開発もしくは100戸以上の大規模開発とでは、住環境に大きく違いが出てくるため、それぞれの規模のものを見ておくことをおすすめします。区画数については、住まいのこだわリサーチvol.13『区画数で違う!? それぞれの暮らし〜開発規模の選び方をチェック!』をご確認ください。
そうすると、やはり最低でも10件は見ることが必要だと考えられます。あまり数多くまわり過ぎても選択が難しくなってしまいますので、住宅展示場で見る数も含めて10〜20件くらいが妥当な件数だといえるでしょう。
効率よく見学するためのポイント!
見学はただたくさんすればよいというものではありません。見るべき部分をきちんとチェックしたいもの。間違いのない物件選びのための見学ポイントをおさえておきましょう。
しっかり“チェックリスト”を作って、じっくり比較
例えば、住宅展示場などに行くと、最新の設備・仕様が目につき、気分が盛り上がってしまうと見るべきチェックポイントを見逃してしまうことも。そんなときチェックリストがあれば、じっくりと比較ができ、見落としが少なくなります。チェックリスト作りのポイントは、以下の4点です。
- 家族の希望条件を整理し、優先順位をつける
- 不動産に関する予備知識を得ておく(工法や構造など)
- 住宅展示場で勉強しておく
- 物件比較リストをつくる(家族の希望や立地、構造、設備など)
<ここは要チェック! 一戸建て物件選び3つのポイント>
自分では変えることのできない部分「立地」の確認が一番大切なポイント。後から変更できない「構造」や、予算次第で変更することが可能な「間取り」や「設備」「内装」をチェックしましょう。
- 立地
「不動産を見るな。街を見ろ」とは住宅関係者がよくいうことです。なぜなら、周囲の環境は自分の手では変えられないため。スーパーが近くにあったとしても、そこに自分たちが必要とするものが揃っているのか? 病院はあっても、そのなかに小児科はあるのか? 大規模な開発で街並みが変わってしまうことはないのか? そういったことは生活の快適性を左右します。つい物件にだけ関心がいきがちですが、自分たちのライフスタイルに合う街なのかということは実は最も重要なことなのです。 - 構造
どんな工法の物件を選ぶにしても、まずは安全性です。耐震性、耐久性、防犯性は最低限の条件。見極め方としてわかりやすいのは、住宅性能表示を行っているかどうかという点。第三者機関の専門家が審査した性能評価書のついている物件なら、一定の安心を買うことができます。
また、バリアフリーも安全性の一環であると考えることができます。廊下の幅やトイレのつくりなど、バリアフリー構造は後付けしにくい場合も多いので、何が必要かを考え、選択の条件にしましょう。終の棲家として購入するのであれば、長く安心して住めるのかということが大事な要素になります。 - 間取り・設備・内装
間取りについては、家族が団欒しやすく、コミュニケーションが自然に成立するような配置になっているものが理想的だといえるでしょう。設備・内装に関しては、購入後に自分で自由に変更できるものも多いので、最優先の条件とするのではなく、他の条件をクリアした後で判断材料にするものだと考えましょう。
構成·取材·文/eSampo.com イラスト/トリゴエモトコ
