住宅情報 都心に住む
2006年1月10日号 vol.149
2005年12月26日発売の「住宅情報 都心に住む」2月号では、今年登場する都心のマンションを4つのキーワードで占います。その中から今回は、2月のオープンを前にいま最も注目を浴びている「表参道ヒルズ」の記事をピックアップします。
 
2月号特集「2006年、都心マンションの静かな革命」より 街の記憶を尊重した再開発 〜「表参道ヒルズ」〜

「我々は、我々の歴史の中に我々の未来の秘密が横たわっていることを本能的に知る」とは、かの有名な美術運動家・岡倉天心の言葉である。私たちが歴史を学び、尊ぶ理由はいくつもあるが、確かにそれは、未来を知る手だてとして人間が本能的に求めるものなのかもしれない。

 少々大げさかもしれないが、マンションについてもそれは同じだろう。街の構成要素としてマンションが周辺環境に与える影響は、単純に大きさの規模にしても、その街に新たに住む人が増えるという意味でも決して少なくない。長い間、人々が暮らしのなかでつくり上げてきた歴史、いわば街の「記憶」を壊すようなマンションが街の人々に愛されることはないだろう。だからこそマンションは街の記憶を大事にすべきであり、極端にいえば新たな住み手にも記憶の継承という意識を喚起させる役割があるのではないだろうか。

写真)かつての同潤会青山アパートの姿。驚くほどに街の風景と一体化していたのは誰もが認めるところだろう   



 「記憶とマンション」というテーマにおいて、話題を呼んでいるのが、同潤会青山アパートの再生事業である「表参道ヒルズ」だ。「このプロジェクトは、旧同潤会青山アパートの建て替え事業として、もともと青山アパートに住まわれていた地権者の方々と一緒に進めてきました。かつての青山アパートのように、商業施設としてだけではなく、人々が暮らす場として、この街に表参道ヒルズが溶け込んでいくことができたらと思っています」(森ビル 広報部・岡田真澄さん)

 関東大震災の復興事業のひとつとして都内各地につくられた同潤会アパートは日本初の近代的集合住宅として歴史的価値が高かった。特に同潤会青山アパートは、表参道のシンボルでもあったため、アパートの建て替えを含めた神宮前四丁目地区市街地再開発には反対の声があがったのも確かである。しかし、住まいとしての機能には限界がきており、住民自身が建て替えを強く希望していたこともあって、建築家・安藤忠雄さんが設計を手がけることで建て替えが決定したのだ。

 「同潤会青山アパートは“都市に集まって住む”ということに取り組んだ、いわば都市生活者の先駆けという歴史がある建物。長年、人々に親しまれ、解体を惜しむ声も多かった建物でもありました。この偉大な都市資産をどのような形で残していくのか、行き交う人々の心に残る風景をどのように継承していくのか、安藤さんの建築家としての思い入れも大変深いものがありました」

  実際、「表参道ヒルズ」では、これまで培われてきた表参道の空気を継承するための取り組みが多い。かつての同潤会青山アパートの建物を一部復元したのは、その最たる例だろう。「復元したアパートの外観は、完成当時の外壁の色を再現していますし、取り壊す時に保存していた手すりやドアノブを流用しています。また、表参道の景観との調和を考え、建物の高さをケヤキ並木と同じくらいの高さにすることによって、ちょうど各住戸のテラス部分からケヤキ並木の木洩れ日が差し込むようになっています」
 では、街の記憶を継承するために、最も大事なことは何だったのか。

 「月並みですが様々な人たちの話を聞き、議論を重ねることだと思います。そういう計画の基礎段階についてはじっくりと時間をかけました」

 記憶を大切にしながら、新しい住まいをつくる。「表参道ヒルズ」は、街の記憶とマンションの関係において貴重なサンプルとなるだろう。

 「我々としては記憶を『残す』というよりは『尊重する』という感じかもしれません。これまで表参道にあった『都市の記憶』を継承しながら、また新たな風景をつくりだしていく。青山アパートがそうであったように、次の何十年もの間、住民の方、表参道で働く方、遊びに来る方、みなさんに親しまれ、愛される施設、住宅をつくりたかったということです。再開発組合の石井理事長がおっしゃっていたように、この表参道ヒルズが、『新たにつくられる風景において、街の中に住み、この街に同化して発展していくものであってほしい』と考えています」

(取材・文/田沢健一郎)
編集後記


2月号(2005年12月26日発売)では、三井不動産・三菱地所の対談がとうとう実現。業界最大手の両社を代表する名プロデューサーのお2人が、都心マンションは今後どうあるべきかについて語り合いました。折しも構造計算書偽装問題が発覚したさなか、特に印象に残ったのは、とにかくカスタマーの信頼を得るためには実績をみせていくしかなく、そのためにはやはり一つ一つのマンションに真剣に取り組むことが、結果的には最大のアピールになるという思いでした。すでに数多くの実績を誇る両社ですが、現状に満足することなく常に新しいことに取り組む姿勢には刺激を受けました。詳細はぜひ本誌をご覧ください!(編集M)

次回の「住宅情報 都心に住む」3月号は1月26日発売!
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住宅情報 都心に住む 2月号 12月26日発売

特集1】
2006年、都心マンションの静かな革命
●2006年を読み解く4つのキーワード
●マンションの未来予想図 〜2010年の都心住宅〜
●対談 三井不動産×三菱地所

【特集2】
住まいに「ダンディズム」を!
ゴッドファーザー的 光と影の部屋

【特集3】
「マンションのブランド」
気にしたことありますか?


その他、直木賞作家・角田光代さんの連載短編小説『あの夜、都会の片隅で』、 唯野未歩子さんと西島秀俊さんの対談など、バラエティに富んだ内容でお届けします。
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vol.148 「クリスマス・イルミネーション2005」について オモシロイ 76% イマイチ 24%
毎年各地でカラーの違う演出を楽しめるので、どこに行こうか迷ってしまいます。今年はミレナリオが最後みたいなので、混雑必死ですが遊びに行ってきます。(30代 東京都 女性)

ご投稿ありがとうございます。東京駅周辺は一挙に開発が進んで、イルミネーション以外にも楽しい見どころが増えましたね! 最近は個人住宅でのイルミネーション技もレベルアップされているようで、ふと見上げたマンションの窓辺に思わず見とれてしまいました☆ (編集Y)

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