vol.42
2003.11.06

さてさて今週の都心倶楽部は、これからのTOKYOの風景に少なからず影響を与えるであろう“気鋭建築家”へのインタビューをお届け! 都心を中心に、いわゆる長屋形式の集合住宅を多く手がけてきた北山恒氏が今回のターゲット。彼の考えるこれからの集合住宅とは、都市のあり方とは、一体どんなものなんでしょう?
気鋭建築家インタビュー

公共施設の建築を変えていきたい

 恵比寿や松濤、世田谷といった都心を中心に、いわゆる長屋形式の集合住宅をいくつも手がけてきた北山恒さん。ガラスをふんだんに使った、光と風に満ちたテラスハウスが連続して立ち並ぶスタイルは、SOHO型の都心居住者に絶大な人気だ。

  「例えば“下馬の連続住居”は分譲マンションだったんですが、上の階は広くして高く、下の階は狭くして安く売るという、日本特有の上下階の価格格差が嫌で、環境も価格も平等なタウンハウスを連続して並べたんです。法的には地下1階地上4階建てですが、一番上にロフト付きの大きな〈リビングダイニング〉、中間階にバスルームのある〈寝室階〉、地下から1階に吹き抜ける〈アトリエ〉という3層の構成です。アトリエと上階を区画できるようにしていますので、編集者や建築家などがアトリエを仕事場にして上階を住居にしている人や、アトリエだけを他人に貸している人もいます。

メイン写真


 住宅を巨大な消費財だと捉えると、お金のある人は金持ちそうな家を、ない人はそれなりの家を買うことになるわけですが、下馬のマンションの場合、事業用という使い方ができる。そういう用途はこれからもっと重要になってくると僕は思っているんですが、その部分についてはあまり評判になりませんでしたね(笑)」

 そういって苦笑いする北山さんだが、時代の動きのなかで集合住宅の設計依頼の割合が多くなっているという。会社を辞めて独立する人が増えたり、パソコンの普及で家に仕事を持ち帰ることが珍しくなくなった昨今、ホームオフィスという発想は定着してきたものの、現実的にプライベートとオフィスを使い分けできる集合住宅の供給はまだまだ少ない。北山さんの人気は、そのニーズの高さと比例しているのかもしれない。だがもちろん、来た依頼をすべて受けるわけにはいかない。

  「どんな小さな仕事も、やるからには真剣にやるので、受ける数はどうしても限られてきます。学校や病院といった公共施設のコンペにも積極的に参加するようにしているので、そのぶん小さな住宅などは減らさざるをえなくて……。今後はもっと、社会に関わる仕事を増やしていきたいと思っているんです。住宅が生活に密着しているとしたら、公共施設は社会に密接している。例えば学校は、次の世代を担う子どもたちの成長に非常に重要な場所なのに、学校建築はすごく遅れています。ああいう環境じゃあ、子どもたちによくないというのがよく分かりますよ。カリキュラムを見直すといったソフトウエアの変革も大事ですけど、建築という受け皿、つまりハードウエアを変えていくことも同じくらい重要だと思っています」

 公共施設は行政の管理下のため、平等主義・前例主義が慣例化している。その分厚い壁を打ち破るのは並大抵のことではない。

  「公共建築というのはつまり、社会のシステムをつくるものです。今後はもっと、それぞれの市や町に合った、固有性そして多様性のある施設をつくっていくことが、人々の幸せにつながり、やがては社会のためになるはずです。もうひとつ付け加えて言うと、日本人はもっと公共の利益について真剣に考えたほうがいい。例えば、公共公園の隣に高層マンションが建って、そこから見える景観をマンションの住人が独占していることについて周りが何も言わないのはおかしいんです。本来、公園などの景観は税金を払っている社会全体のものですから。これがヨーロッパだったら、周りの住民はきっと黙ってはいないでしょう。そういうことも含めて、土地を買って建物を建てる人は、その地域社会に迷惑をかけず、むしろ贈り物になるような建築物をつくるという感覚を持ってほしいですね。そんな動きが少しずつでも出てくれば、賛同した人たちの間で広まっていくでしょうし、街全体、都市全体の景観もよりよくなっていくと思います」


北山 恒
きたやま・こう

1950年香川県生まれ。 横浜国立大学建築学科卒業。
1978年ワークショップ設立(共同主宰)。
1980年横浜国立大学大学院修士課程修了。
1995年architecture WORKSHOP設立主宰。
現在、横浜国立大学教授、東京芸術大学非常勤講師。
「HOUSE IN HOUSE」で東京建築士会住宅建築賞受賞。「白石市立白石第二小学校」で第17回建築学会東北建築賞作品賞、第38回建築業協会賞(BCS賞)受賞、日本建築学会作品選奨受賞。「Lime House」で東京建築士会住宅建築賞。受賞「Z-House」で東京建築士会住宅建築賞受賞。著書に『On the Situation』(TOTO出版)など。会作品選奨受賞。



北山氏のデザインする社会・・・非常に気になるところです。さて、来週の都心倶楽部は、照明に光をあてちゃいましょ。照明って、部屋の雰囲気を決める重要な役回り。しかーし、一歩その世界に踏み入れたなら、奥が深いのがこの照明の世界。天井から吊り下げるタイプからスタンドタイプ、直接照明から間接照明まで、さあ、どうコーディネートする? お楽しみに〜
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▼vol.41「タワーマンションに住まう贅沢。リビングのテーマはリラクゼーション」について


つい先日、知人のタワーマンションに遊びに行ってきたところだったので、なんてタイムリーな記事だろうと興味津々に読ませて頂きました。眺望といい、生活する方々のスタイルを重視したところといい、最近のマンションはなかなかやるなぁって思います。(30代・女性・東京都)


ライフスタイルが目に見えるようです。やはり職住近接だと休日出勤してしまいますね。(50代・男性・東京都)


ご投稿どうもありがとうございます。職住近接でおまけにタワーマンション! まさにホテル住まいの感覚ですね!(編集I)
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