vol.38
2003.10.09

秋の気配も深まってきましたが、いかがお過ごしですか? さて、今週の都心倶楽部は、これからの東京の風景と人々の暮らしに、少なからず影響を与えるであろう気鋭の建築家へのインタビューをお届けしましょ。今回、お話を伺ったのは、ありそうでなかったデザインと斬新な発想で数々の受賞暦をもつ手塚貴晴・由比夫妻。彼らの発想の源とは??
気鋭建築家インタビュー(手塚貴晴・由比)
メイン写真


当たり前を超える。時代を超える

 住宅関係の雑誌を何誌か手に取ると、必ずといっていいほど目にする建築家。それが、トレードマークである青と赤の衣服をそれぞれ身につけた手塚貴晴・由比夫妻である。

 「副島病院」や「川越の音楽マンション」「屋根の家」など、数々の賞を受賞してその年の話題をさらった作品は数知れず。ありそうでなかったデザインと斬新な発想で、従来の住宅建築のイメージを一新した若き担い手の一人(一組)といっていいだろう。

 「私たちはいつもクライアントに“あなたの夢は何ですか?”って聞くんですよ。皆さんいろんな夢を持っていらっしゃるけど、まさか叶うとは思ってない。


でもひとつくらいは、建築上、実現可能なものがあるんです。まずはそのことについて、とことん突き詰めて考えるんですね。この仕事をやっていて何が面白いかというと、普通に考えて当たり前にできることを超えて、今までありそうでなかったものを形にするということなんです。そのうえで、住むほどにその家のことが好きになる、10年後も住人に愛されるような家にするために、その建物の本質を真剣に考え抜くことが、私たちにとっては何よりも大切なことなんですね」

 例えば一昨年手がけた「メガホンハウス」。9m×6mの、海に面した大きな窓に向かってメガホンのように広がる空間は、側面にしか壁がない。そのぶんクライアントは、大海原に浮かんでいるかのような錯覚に陥るほどの絶景を、大きな窓から満喫できる。

 あるいは、風を感じる家をスタートにして、バルコニーを思いつき、“バルコニーとは何か? ”についてとことん突き詰めて考えて設計したのが「バルコニーの家」。家全体がバルコニーになっているため、正面に柱はなく宙に浮いている。 

 窓が壁代わりだったり、宙に浮いていたり……。そんな一見するとシンプルでいて、よく見ると今までできそうでできなかった、ありそうでなかったデザインが手塚流だが、その実、それらの建物の構造には、並々ならぬ技術や工夫が施されているという。

 「もともと空港など大きい建物の設計からスタートしているので、構造についてはものすごく興味があるんです。ただ、頭で理解はできて計算くらいまではするけれども、いざ形にするとなるとそれ以上はできない。そこでどうしても不可欠になってくるのがプロフェッショナルの存在なんです。いろんなことを知識として理解はしていても、自分の能力を超え、時代を超えて最終的に残る建物をつくるためには、構造や照明、音響といったそれぞれのジャンルのプロフェッショナルのバックアップがとても重要になってきます」

 そんなお二人が、今もし自由に集合住宅を設計できるとしたら、どんなものをつくりたいのだろうか?

  「超高層マンションはやってみたいですね。そのときはまず、都市のダイアグラムを考えることが先決になります。集合住宅の場合、形の議論に終始しがちですけど、もしやるとしたら、都市のダイアグラムや建物の中身も含めて最後までやりたい。高層マンションこそ、今までの技術ではできないと思われていることがまだまだたくさんあって、当たり前の空間が大量につくられているので、だからこそやりがいがあると思います。大きな規模になればなるほど、夢をかたちにするためにどんなテクノロジーが必要なのか、構造だけでなく空間や光、風にいたるデザインまで、今までのやり方を超えていくためにはどうすればいいのかということをきちんと理解し、各分野のプロフェッショナルとどれだけいいチームを組めるかということが重要になってくると思う。常識では実現不可能だと思われていたことをいかに壊して、より高度で時代を超えた建築をつくっていくかということが常に私たちのテーマですね」


手塚貴晴・由比
てづか・たかはる&ゆひ

(貴晴)1964年生まれ。武蔵工業大学卒業、ペンシルバニア大学大学院修了。
(由比)1969年生まれ。武蔵工業大学卒業。ロンドン大学バートレット校卒業。
94年に手塚建築企画を共同設立(97年に手塚建築研究所に改称)。現在、貴晴氏は武蔵工業大学助教授、由比氏は東海大学非常勤講師も務める。昨年、長女が誕生。屋根の家にて第18回吉岡賞とJIA新人賞をそれぞれ2002年に受賞。今年、日本建築学会作品選奨受賞。




手塚貴晴・由比夫妻の設計するタワーマンションなんて、なんだか考えるだけでもワクワクしてきません? さて、来週の都心倶楽部は、ソファにフォーカス! いざ、マンションを手に入れたなら、次はもちろんインテリア。最初に目がいくのは、やっぱりソファじゃありません? そこで、正しいソファの選び方をお届け! お楽しみに〜
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別宅が1億5000万円とは・・・。いやはや平民には夢でしかありません。(40代・男性・東京都)


ご投稿どうもありがとうございます。ご紹介した写真は日中のものでしたが、夜景を想像するだけで思わずため息が出てしまいますね…。(編集I)
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