vol.34
2003.09.11

毎週、都心に住みたいアナタに魅力的な物件をお届けする都心倶楽部。今週は、気鋭の建築家、中村好文さんへのインタビューをお届け! 個人住宅で数々の受賞暦をもつ中村さんが手がける集合住宅とは? 
キッチンからはじまる住まい探し
メイン写真

成熟した大人に住んでもらいたい

 住めば住むほど愛着のわく住宅建築に定評があり、根強いファンを多く持つ中村好文さん。世界の名作住宅を訪ね歩いた旅の記録『住宅巡礼』(正・続)や、雑誌『芸術新潮』における住宅や家具の真価を問う特集などで、中村さんの名前を目にしたことがある人も多いだろう。どちらかというと、<個の住宅=一戸建て>を愛するイメージの強い中村さんだが、なんと、都心の集合住宅をはじめて手がけたというので、さっそくお話を伺った。

「今までにも、集合住宅の設計の依頼は何度かありましたが、基本的にそこに住む人の顔が見えている住宅のほうに興味があったので、断ってきたんですね。でも今回は、そこに住む人の、これから先もずっと続いていく生活のことまで考える僕の家づくりに共感した若いデベロッパーからの依頼だったので、受けることにしました」

 日本橋茅場町という、歴史的面影を感じながら、文化や芸術を身近で存分に享受できるロケーションにひっそりと建つ、9階建て4世帯のマンション。それが、今回中村さんが手がけた「Apartment 2122」だ。

「多くのマンションが売り文句にしている、一見豪華な建材とか外国製のシステムキッチンとか、そういうものを豊かだと思う発想や価値観は、僕には全くないんですね。まず僕自身が住みたくなるような、住むほどに生活が味わいを増すような家が理想なんです」

 昨今の、まず作品ありきの建築家ブームのなかで、アイデアを競うあまり、奇をてらったものや格好良さを優先させる建築家も少なくない。しかし、中村さんは、そんな時流などどこ吹く風。一貫して、普遍性のある家づくりにこだわり続けているのだ。

「既成の概念にも興味がないんですよ。むしろ、そういう価値観にとらわれずに自然体で発想しているので、例えば、今回の茅場町の住宅は、アパートメントっていう呼び名にしたんです。日本では当たり前になっているマンションという呼び方には工夫とセンスが足りない(笑)」

 ほかにも、「住人に家と握手して出入りしてほしいから」と、各住戸の入り口のドアの取っ手を、造型作家・望月通陽氏によるオリジナルのブロンズ製にしたり、全くプランの異なる4世帯は、暖炉のある住宅あり、総檜の風呂ありでバラエティに富んでいて、それぞれ随所に、家と住人に対する温かな創意工夫が施されている。

「Apartment 2122には、本当に豊かなことはどういうことなのかをちゃんと知っている、成熟した大人の方に住んでほしいと願っているんです。残念なことに、日本人は民度が低いというか国民性なのか、豊かさを
 <モノ>で測ることが当然だと思っている人が多すぎる。
 僕が設計した家は、ブランドで身のまわりを囲わなくても満ち足りた豊かな暮らしのできる方に住んでもらえると、真の価値を発揮します(笑)」

 ちなみに、4世帯とも同じ価格なのだが、それにももちろん理由がある。
「上階になればなるほど高額になる価格設定は、どうしても住人の間で階級意識が出てくるでしょ。そういうのは嫌だから、各住戸で価格が均一になるように、バランスをとりました」

 知れば知るほど住みたくなる、中村さんの集合住宅。まるで一戸建てが4つ並んだような集合住宅の設計は、一戸建てにはないご苦労もあったのでは?

「設計に手間がかかるのは当たり前なので苦にならないんですよね。いまだに、僕の事務所ではCADやCGは主流ではなく、ほとんどの図面は鉛筆と定規で描いてますが、便利なものを使うことによって失うものも必ずあるというのが僕の持論なんです。そもそも、そういう先端技術を導入してまで仕事を増やしたり、急いでやろうとも思わないし、必要以上に収入を増やしたいという欲もないんですよ(笑)」

中村好文
なかむら・よしふみ

1948年千葉県生まれ。
武蔵野美術大学建築学科卒業。吉村順三設計事務所に勤務後。81年レミングハウスを設立。87年「三谷さんの家」で第1回吉岡賞受賞。93年「一連の住宅作品」で第18回吉田五十八賞受賞。現在、日本大学生産工学部居住空間デザインコース教授も務める




中村さんの手がけた集合住宅、そこに住む人に会いたくなりました。さて、来週の都心倶楽部は「犬」! 空前のペットブームに、マンションで暮らすわんこも急増中。マンションに向く犬って? どんなことに注意したらいいの? お楽しみに〜
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▼vol.33の「TOKYOリビングスタイル#1」について


素敵な生活を想像できる、とってもシンプルだけど洗練された、センスの良い住宅ですね。うっとりでした。 (30代 女性 東京都)


壁一面の鏡張りは憧れです! ダンススタジオ用の特注だったのですね。いくらくらいかかるのかしら。値段のリサーチしてみたくなりました♪(30代 女性 東京都)


ご投稿どうもありがとうございます。ライフスタイルを考えたうえでの1LDK→ワンルームという見事な設計変更でしたね。ワンルームの鏡張り…、やっぱり憧れちゃいます…。(編集I)
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