千秋(以下、C):建築家ってみんな頭が良さそうですよね。雑誌なんか見てると難しいことをしゃべってます。
所長(以下、S):そう、建築家はただ単にカッコイイものを作るだけではダメなんだ。作品で理念を伝えなくてはならない。だからセンスはもちろんのこと、知性や教養も必要なのだ。例えばオレのようにな。
C:えっ? でもどうしてカッコイイだけじゃだめなんですか?
S:それはおそらくル・コルビュジェの影響だとオレは踏んでいる。
C:コルビュジェって、20世紀を代表する巨匠の一人ですよね。私も知ってます。
S:うむ、それまでの建築のあり方を変えた偉大な人物だな。
C:シンプルな白い建物を作ったんですよね。そういう人をモダニストっていうんでしょう?
S:よく勉強しているな松本。しかしそれだけではないぞ。モダニストとして工業化時代にふさわしい単純な形態の建築を生み出したことも素晴らしいが、コルビュジェはむしろ建築家の態度に対する影響力が大きいと思う。
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C:態度……ですか?
S:そう、コルビュジェの功績は、未来の建築のあり方を常に思想として提案していたことだ。代表作の<サヴォア邸>を見ろ。
C:白くてシンプルでステキな家ですね。住み心地も良さそうです。
S:だがこの小さな建物には、「近代建築の五原則」という彼の提案した理想が込められている。建築に言葉で思想を与えたのだよ。だからこそ20世紀を代表する名作住宅たりえたともいえる。
C:難しそうですけど、コピーライターみたいですね。
S:うまいことを言うな。それからこの<ドミノ住宅>。すべての建築に応用が可能な、単純なシステムだ。いわば公式を一つ考えたようなものだな。以降の建築はこぞってこれを真似したのだぞ。
C:そんなすごそうな意味があるんですか。こんな単純な絵なのに。
<次号に続く> |