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第2回 知らなきゃ損する? 住み替え前に知っておきたい税の知識 税理士 米田純子さん

生活に身近な「住まいと税金」に詳しい税理士の米田さん。ご両親の買い替えの際には「税理士をしていて、親孝行ができました」と、仕事を通して得た税制の知識が生きたのだとか。ご両親の買い替えのエピソードとともに、税制についても教えてもらいました 。

米田 順子さん 東京シティ税理士事務所
税理士
米田純子さん

プロフィール
大学卒業後、税務・会計の世界に興味を持ち、一念発起し、見事税理士に。税理士事務所勤務をへて、現在は資産税を得意分野とする東京シティ税理士事務所勤務。マイホームの取得や売却についての税金や相続など、身近な税について詳しい 。

建て替えよりも「買い替え」を選んだ両親

近くの公園で

―― ご両親の買い替えの理由は何でしたか?
  ひとことでいうと、今まで住んでいた一戸建てが古くなったんです。私が生まれる前に両親が購入したもので、築40年近い物件でしたし、両親も何かと不自由を感じていました。ですから、以前から住まいをどうするかという話は家族でよくしていたんですね。そんなある日のこと、たまたま近所に新築一戸建てが売りに出されたんです。それも徒歩1分くらいの場所で(笑)。昨年、私も新築マンションを購入したんですが、これが両親にとっては刺激だったようで(笑)、早く新しい家に住みたかったんでしょうね。見事抽選に当たり、とんとん拍子で住み替えることができました。

―― 建て替えを選ばなかったのは?
  もちろん、当初は漠然と建て替えを考えていました。それでも選ばなかったのは、時間と手間が気になっていたからです。新しいプランを決めたうえで仮住まいを探し、古家を取り壊して……、その間、2回、引っ越さなくちゃいけない負担を考えると、躊躇しますよね。娘の私から見ると、両親の時間を大事にしたいと思っていました 。

―― 買い替えで大変だったことは?
  我が家の場合は、「買い先行」だったわけですが、「売り」も同じ不動産会社にお願いし、1カ月もしないうちに決まりました。大変というより、こんなにうまくいくなんてと率直に驚いています。税理士なので、準備が大切といいたいところなのですが、今回ばかりはタイミング、ご縁ですね(笑) 。

税の知識があるのとないのでは“差”がつく

―― 税金対策などの準備はしていたんですか?
  買い換え特例が適用されるよう、準備というか条件を再確認しました。両親の場合は新しく購入した物件価格まで、課税が繰り延べされる「買い換え特例」を使いましたが、「特別控除」と「軽減税率」を併用するパターンもあるんです。どちらが有利になるのか自分で判断しなくてはなりませんので、このときに税理士の知識が生きたと思いました(笑)。

―― もう少し、具体的に教えていただいてもいいですか?
  通常、自宅を売却して利益が出た場合が、課税の対象となります。所得税15%、住民税5%ですね。ただし、現在は4つの特例があり、適用されれば税率が軽減されたり、繰り延べされたりするんです。税制でも住み替えを促進しているんですね。両親が使った「買い換え特例」は、購入した物件価格が4000万円だとすると、4000万円まで課税が繰り延べされるんです。繰り延べとは、将来、購入した物件を売却するときに税金を払ってね、ということ。いつかは税金を支払わなくてはいけないのですが、忘れてしまうこともありますので、注意が必要なんです。一般的なのが3000万円まで課税対象にならない「特別控除」、所得税と住民税の税率が所得税は5%、住民税1%、それぞれ軽減される「軽減税率」。先ほども申し上げましたがこの2つは併用することもできます。また相続した自宅を買い替える場合の特例もあります。これらの特例は居住年数や適用条件が細かく、しかも年々変わることも多いんです。控除や優遇税制は使える方はどんどん使ってほしいと思っていますが、「知らなかった」「あと1年住んでいれば」など、もったいないケースをよく聞きます。特にサラリーマンの方は確定申告をしないためか、税が難しいと敬遠されてしまっているのかもしれません。不動産会社はもちろん、不明なことは税の専門家にも相談してほしいですね。

―― 売却前に確認しておくべきことはありますか?
  基本的なことなのですが、自宅名義の確認をしておきましょう。相続された方などは、意外と親の名義のままだったりすることがあるようです。税金対策は、売った直後や売る直前に手を打つのでは遅い場合が多いんですね。ですので、特に定年を迎えられた方は、一度、お近くの税務署や税理士に相談してはいかがでしょうか。相続や贈与など、どうすると節税効果があるのかなど、教えてもらえると思います。

―― 買い替えを考えている方にアドバイスを
  今、買い替えを考えていらっしゃる方の多くは、2つに分かれると思います。私の両親のように、郊外に一戸建てを購入したシニア層。そしてもうひとつは、15年前ほどに住宅を購入したまだ子育て中のファミリー層。売却益がでるのが、多くは両親のような年配の方の買い替えでしょう。一方で残債がでるのが、ファミリー層だと思います。売却益があっても、残債があっても、今は特例でバックアップしていますが、この優遇措置もいつまで続くかは不透明。最近の動向から考えると縮小傾向にあるのは確かでしょう。もし、買い替えを考えていらっしゃるのであれば、今というタイミングは確実にチャンスだと思いますね。

(2006年4月26日更新)

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