新築一戸建ては一日にしてならず。「できるまで」の過程を重視しよう
すでに建物が完成した新築一戸建てを見ても、ひと目で分かるのは床や壁、天井など表から見える部分だけ。設計・施工の状態などに関しては、表から分かることには限りがある。完成品だけを見て判断するのではなく、一戸建ての成り立ちを知り、設計から施工、完成までトータルで判断することが大切だ。
もちろん、設計も施工もプロが責任を持って行うわけだから、必要以上に心配しなくてもいい。特に近年はさまざまな制度改正により、建物の品質が一定以上に保たれる仕組みが強化されている。例えばすべての一戸建ては”建築確認”と”完了検査”の手続きが行われており、行政など第三者が基本的な部分は確認してくれているから、それだけでも安心感があるといえるだろう。
2009年10月の“新法”でさらに安心に!アフターサービスが購入後の安心につながる
家を購入したら、売主とは関係がなくなるというわけではない。会社により細かな内容に違いはあるが、入居後も建具の不具合や設備の破損などがあれば、アフターサービスで相談や補修などの対応をしてくれる。アフターサービスの専門対応部署を設けている場合もあれば、販売時の担当者が販売後もあれこれと面倒を見てくれるケースなどさまざまだ。
また、2009年10月から住宅瑕疵(かし)担保履行法が施行され、仮に売主が倒産しても保険会社から保険金が支払われることになり、安心感が増した。法律で定められる10年間の保証とは別に、独自に保証期間を設けている例も。サービスの対象となる部位や不具合の内容、期間などは会社ごとに規定がある。購入前に、どのようなサービスが受けられるのか確認を。
新築住宅の施工会社か売主は、住宅の基本構造部分について10年間の瑕疵担保保証が義務づけられている。これは住宅品質確保促進法(品確法)で導入された3本柱のうちの一つ。「瑕疵担保保証」とは、引き渡し後に構造上の欠陥や雨漏りなどが発覚した場合、無償で補修したり損害賠償に応じなければならないこと。さらに10月の新法施行でたとえ売主が倒産しても、10年間は保証が守られることになった。
国が認めた第三者機関(プロ)が、家の性能を評価
設計・施工の流れは理解できたとしても、実際の建物チェックは素人ではやはり不安が残る。そこで活用したいのがプロの目だ。実は、国が登録した第三者機関(プロ)により、設計と建設それぞれの段階で住宅の性能を評価する制度がある。
この住宅性能表示制度は、前述の2000年に施行された住宅品質確保促進法(品確法)で導入された、”安心の家選び”を支える3つの柱のうちの一つ。消費者が住宅の性能を理解しやすくするために国が基準を定め、統一ルールのもとに評価を受けられる仕組みになっている。
評価の結果は項目ごとに等級などで評価書に表示される。「等級1」なら建築基準法を満たしており、等級の数字が高いほど性能が高い。ただし任意の制度なので、評価書が付いてない住宅もある。
2009年6月には長期優良住宅の認定制度がスタートした。これは劣化対策や耐震性などの住宅性能が高く、長く住める良質な住宅を認定する制度だ。長期優良住宅は建築コストが一般住宅より高くなりがちな分、住宅ローン控除などで減税される額が大きい。フラット35の金利が20年間引き下げられるメリットなどもあるので、チェックしてみよう。
建設住宅性能評価書付きの住宅(評価住宅)では評価機関がチェックするが、自社で独自に基準を設け、専任の担当者が設計図や工事現場を検査する例もある。第三者の目だけでなく、売主として自ら販売する住宅の品質を確保しようという姿勢の現れだ。さらに入居後のアフターサービスについて、自社や関連会社による定期点検などに力を入れるケースも。