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賃貸カスタマイズ&DIY もっと自分らしい賃貸ライフを楽しもう!

入居者プロフィール
  • ●名前:後藤智揮(29才)さん、神戸美音(30才)さん
  • ●家族構成:夫婦
  • ●職業:建築設計
物件データ
  • ●所在地:神奈川県川崎市高津区
  • ●築年数:築30年
  • ●アクセス:東急田園都市線二子新地駅から徒歩5分
  • ●間取り:3DK/約70㎡
  • ●家賃:10万円(管理費込み)
  • ●入居時期:2012年5月
間取り
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リフォームプランを自分で設計
築30年の木造アパートを大幅に改修した1室で、5月から新生活をスタートさせた建築士の後藤さんと神戸さん。入居にあたり、自分好みに改修設計できるという同物件の存在を知ったのは約半年前。そこから全6回にもおよぶ念入りな打ち合わせで改修プランを固め、設計、現場監理をして半年がかりで自分好みの空間をつくり上げてきた。
「まず、壁付けだったキッチンは、庭を眺めながら料理ができるように向きを変え、アイランドキッチンにしました。また、茶の間にはテレビ台と本棚を壁に取り付け、床は縁無畳に変更、障子は庭の緑がよく見えるよう上下にスライドする雪見障子に変えました。そのほか壁・天井は塗装仕上にしたり、食堂・広間の床もナラのムク材に変えるなど、間取りだけでなく仕上げにもこだわって改修しました」(後藤さん)

じつは、最初はここまで大幅な改修を行う予定ではなかったという。それが大家、工務店を交えた三者での打ち合わせを重ねるうち、改修プランの構想はどんどん広がっていった。
「物件を紹介してくれた不動産会社からは当初、改修は自由だけど費用は定額を超えたら自己負担だと言われていたんです。正直、あまりお金もかけられなかったんで最初はそれほど手を加えるつもりはなかった。でも打ち合わせを重ねるうちにだんだんと話が盛り上がって、やることが増えてしまいました(笑)」(後藤さん)

結果、最終的な改修費用はかなりの額に膨らんだが、うれしいことに全額を大家が負担してくれることになった。その理由を大家の木村さんはこう語る。
「入居者自身の趣向に合わせたリノベーションにより満足度を上げることで、長く住んでもらうことができます。また、今回は建築士さんということで色々とアドバイスもしてもらってますし、それによって物件の価値が高まるなら投資をするメリットは十分あると思っています」
改修前の食堂と茶の間
改修前の食堂と茶の間
食堂と茶の間の壁の一部を取り払い、開放的なスペースに。窓も大きく明るくした
食堂と茶の間の壁の一部を取り払い、開放的なスペースに。窓も大きく明るくした
昔ながらの味わいはそのままに
とはいえ家全体を丸ごとフルリノベーションではさすがに予算オーバー。そこで費用を抑える手段のひとつとして、改修部分と未改修部分の線引きを明確にした。
「残せる部分はできるだけ手を付けないことにしました。例えば玄関の壁は立派な羽目板貼で、味があるのでそのまま残すことにしました。お風呂も昔ながらのタイル貼りで、それが逆に新鮮だったので、給湯器を換えてもらっただけで基本はそのままですね」(後藤さん)

築古物件ならではの味わいが感じられる部分は壊したくなかったという後藤さん。玄関や浴室以外にももうひとつお気に入りのポイントがある。
「庭と縁側です。縁側がある家なんて今どきなかなか住めないので、これは絶対に残したかったですね。茶の間でくつろぎながら雪見障子越しに庭が見えるようにしました。今後、ここに上階の人と一緒に、植えたいものを植えたりしながら交流できれば楽しいかなと思っています」(後藤さん)
小さな庭と縁側も物件を選ぶ決め手のひとつとなったポイントだという
小さな庭と縁側も物件を選ぶ決め手のひとつとなったポイントだという
ピンク色のタイルと和柄の風呂釜。昔ながらの雰囲気を残す浴室はそのまま活かした
ピンク色のタイルと和柄の風呂釜。昔ながらの雰囲気を残す浴室はそのまま活かした
木造30年のリスクを解消
とはいえ、木造の築古物件となるとそれなりのリスクもある。特に怖いのは耐震性だが、今回の改修では柱・梁・土台に補強用の金物を取り付け、構造用合板を張る耐震工事も行っている。「今回のように壁をはがして行う改修は今後しばらく行わないでしょうから、ついでに耐震補強もバッチリやって安全性も確保してしまえば一石二鳥です。それに、もし今の入居者さんが退去された後でも、耐震工事済みなら安心して住んでいただけますからね」(木村さん)

古い物件の場合、耐震性が現在の基準に達していないことも考えられる。賃貸といえど長く住むつもりなら、その点も考慮した上で検討したい。もし今回のように改修プランを自由に決められるなら、耐震工事についても相談したいところだ。
壁を剥がすついでに柱・梁・土台に金物をとりつけるなど部分的に耐震補強も行った
壁を剥がすついでに柱・梁・土台に金物をとりつけるなど部分的に耐震補強も行った
トイレは和式から洋式に変更。こうした細かい設備も入居者自身が選んだ
トイレは和式から洋式に変更。こうした細かい設備も入居者自身が選んだ
セルフビルドでカスタマイズを極める
床の貼替えや耐震補強といった大がかりな改修部分はプロの手に委ねたが、床や家具、建具の塗装など仕上げの部分は一部、自分たちの手で行った。
「予算の問題もあるので、大家さんと相談してぼくらでもできそうなところは自分たちでやってしまいました。ただ、やはりプロの仕上げと自分たちの仕上げは全然違うので、自分たちがやるところとプロにお願いするところはきっちり分けました。次の入居者にも引き継がれる壁や新しくした床・建具の着色塗装はプロに、一方、古い建具の着色塗装や床・家具のクリア塗装など、賃貸として影響の出ない部分は自分たちでやりました。古い建具は塗りムラが出てもそんなに目立たない。というか、かえって味になると考えればよいかと。マスキングテープでしっかり縁取りし、はみ出さないようにさえ注意すれば、素人でもそれなりに仕上げられると思いますよ」(後藤さん)

予算を浮かせるだけでなく、セルフビルドによって部屋に対する愛着もさらに増すという。寝室の塗装など、今後も大家と相談しながら、少しずつ手を加えていく予定だという。
建具のクロス剥がしや、塗装などの作業はGWを使って集中的に行った
建具のクロス剥がしや、塗装などの作業はGWを使って集中的に行った
茶の間に自ら選び持ち込んだ縁無畳
茶の間に自ら選び持ち込んだ縁無畳
取材・文/榎並紀行撮影/藤本和成
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