不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

マンション売却の費用と、知ってトクする税金の控除(譲渡所得課税・所得税・住民税)と特例

マンション売却の費用と、知ってトクする税金の控除と特例

マンションを売却するときには、各種の費用がかかるほか、いくつかの税金も課税されます。
また、税金には控除や特例で税額が軽減される制度もあるので、覚えておきましょう。

記事の目次

マンション売却の際に通常かかる費用

一番費用がかかるのが不動産会社に支払う仲介手数料

マンション売却の際には不動産会社に仲介を依頼します。
価格査定をしてもらった不動産会社のなかから選んだ会社と媒介契約を結び、売却活動により買主を見つけてもらい、売買契約を結ぶサポートもしてもらいます。

これらの不動産会社の業務に対し、報酬として仲介手数料を支払います。
仲介手数料には上限額が決められており、一般的には以下の計算式で求められます。

基本的な仲介手数料の計算式
(物件価格400万円超の場合の上限額)

物件価格×3%+6万円+消費税

この仲介手数料は不動産会社への成功報酬という位置付けです。したがって、売買契約が成立してはじめて支払う義務が生じる性格の費用になります。

ただし売買契約を締結した時点で仲介手数料を全額支払うと、その後に買主がキャンセルするリスクも残ります。
そのため、実際には売買契約を締結した時点で仲介手数料の半額を、さらにマンションを引き渡した時点で残りの半額を支払うケースが一般的です。

マンション売却の仲介手数料イメージ

住宅ローンの一括繰り上げ返済の手数料

売却するマンションに住宅ローンが残っている場合は、一括繰り上げ返済するための手数料を金融機関に支払う必要もあります。

繰り上げ返済というと返済の途中でまとまった金額を前倒しで返済する一部繰り上げ返済がなじみ深いかもしれません。
一部繰り上げ返済は最近ではどこの銀行もインターネットで手続きできるようになっており、手数料もかからないケースがほとんどです。

しかし一括繰り上げ返済となると話は別です。
一括繰り上げ返済もインターネットで手続きが可能ですが、ほとんどの場合で手数料がかかります。
金額は銀行によって異なり、5000~3万円前後となっています。

またマンションの買主が新たに住宅ローンを組んで代金を支払い、そのお金で売主が住宅ローンを一括繰り上げ返済する場合は、繰り上げ返済と同時に借りていた銀行から抵当権抹消手続きに必要な書類を受け取る必要があります。
銀行に書類を用意してもらうのには1週間前後の時間がかかるので、前もって早めに銀行に連絡をしておきましょう。

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住宅ローンの抵当権抹消費用

住宅ローンが残った状態でマンションを売却する場合は、抵当権を抹消するための登記手続きの費用がかかります。
抵当権は金融機関が設定しているので、住宅ローンを繰り上げ完済すると同時に抵当権抹消のための書類を金融機関から受け取り、抹消登記の手続きをします。

この抵当権の抹消登記の際にかかる税金が登録免許税です。
税額は土地・建物それぞれ1件につき1000円かかります。

登記手続きは司法書士に依頼するのが通常なので、その報酬も必要です。
司法書士への報酬は3万円前後が一般的です。

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住宅ローンの一括繰り上げ返済と抵当権の抹消にかかる費用をまとめると、以下のようになります。

住宅ローン一括繰り上げ返済と抵当権抹消にかかる費用

◆一括繰り上げ返済手数料

金融機関に対して支払う費用
費用の目安:5000~3万円程度

◆登録免許税

抵当権抹消登記の際に印紙で納める
費用の目安:1件1000円

◆司法書士報酬

抵当権抹消登記の手続きの際に支払う
費用の目安:3万円前後

売買契約の印紙税は軽減が受けられる

マンションを売却するための売買契約を買主と結ぶときには、印紙税がかかります。
印紙税とは売買契約書に貼る印紙代のことです。
契約書に所定の税額の印紙を貼り、印鑑を押す(これを消印と呼びます)ことで納税手続きが完了します。

印紙税の税額は契約金額、すなわち売却するマンションの価格に応じて決まります。
また2024年3月31日までの契約については、税額の軽減が受けられます。

例えば売却価格が1000万円超5000万円以下の売買契約の場合、本来の印紙税額は2万円ですが、軽減措置により半額の1万円となっています。
なお、売買契約書は売主用と買主用に同じものを1通ずつ作成するので、上記の場合は売主と買主それぞれが1万円ずつ納税することになります。

売買契約にかかる印紙税
契約金額 本来の税額 軽減税額※
500万円超1000万円以下 1万円 5000円
1000万円超5000万円以下 2万円 1万円
5000万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円
※2024年3月31日までの契約に適用

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新居への引越し費用

住んでいるマンションを売却する場合、最終的にその家を退去して買主に引き渡さなければならず、引越し費用がかかります。
春や秋の移動シーズンは引越し費用が高騰し、引越し会社の予約も取りにくくなりがちです。
買主への引き渡し日が決まったら、早めに引越しの準備をしておきましょう。

マンションを売却して新居へ引っ越すイメージ

自宅マンションの買い替えで新居を購入する前に売却した場合は、いったん賃貸住宅などに仮住まいをし、改めて新居を購入する必要があります。
そのため、引越し費用が2回分かかることになります。
また、仮住まいをすることで家賃負担も発生することを覚えておきましょう。

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マンション売却でケースによってかかる費用

売却活動のためのハウスクリーニング費用

売却活動に向けて、マンションの室内を専門のハウスクリーニング会社に掃除をしてもらうケースは少なくありません。
ハウスクリーニング会社は業務用洗剤などを使って壁や床、水まわりなどの汚れをきれいに落としてくれるので、自分で掃除するよりもきれいな仕上がりになることが期待できます。

ハウスクリーニング費用は住戸の広さなどで異なりますが、おおむね5万~10万円程度です。
かけた費用の分だけ高く売却できるとは限りませんが、より早く売りやすくなる効果は考えられます。

ハウスクリーニングを実施するかどうかは、不動産会社とも相談して決めるようにしましょう。

▼詳しく記事を読む
ハウスクリーニングの料金相場は?料金プランや業者選びのコツ

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売却活動のためのホームステージング費用

マンションを売却するときにホームステージングを利用するケースが増えています。
ホームステージングとは室内のインテリアをモデルルームのように飾り付け、それによって内覧者の購入意欲を高めるサービスのことです。
実際に、ホームステージングを利用することで売却期間を短くできたり、売却価格を高めにできたりするケースもあるようです。

ホームステージングには空室の住戸にレンタル家具などを搬入する方法や、住んだまま手持ちの家具を活用する方法などがあります。
マンション売却のためのホームステージングの費用は内容や期間、サービス提供会社などにより異なり、7万円前後から30万円前後と幅もあります。

最近は売却活動にホームステージングを積極的に活用する不動産会社も増えています。
関心のある人は不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

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売却に必要な住所変更登記の費用

マンションの登記簿上の所有者の住所と住民票の住所は、本来は一致していることが前提になります。
そうでないと、マンションを売却するときに、その人が本当の所有者なのかどうか法務局が判断できないのです。

マンションを売却する前に別の住宅に引越すなどして、登記簿上の住所と住民票の住所が異なる場合は、登記簿上の住所を現在の住所に移す必要があります。
これを住所変更登記といいます。

住所変更登記には土地・建物1件につき1000円の登録免許税や、手続きを依頼する司法書士への報酬がかかります。
ほとんどの場合は買主と売買契約を交わしたあとに、残金決済のときに抵当権抹消や所有権移転の登記と一緒に司法書士が手続きしてくれます。
登録免許税と司法書士への報酬の合計で4万~5万円前後が一般的でしょう。

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売却期間中の水道光熱費

マンションを買い替えるときに売却する前に新居を先に購入するケースでは、売却するマンションの電気やガス、水道を解約することが多いと思われます。
解約すれば水道光熱費はかかりませんが、デメリットもあります。

例えば電気を止めてしまうと、購入検討者が夜間に内覧できず売却活動が非効率になることが考えられます。
また水道を止めると長期間にわたり水を流すことができず、下水の臭いが立ち込めてしまう場合もあるのです。

こうしたデメリットを考えると、マンションの売却期間中は電気と水道は解約せず、水道光熱費を負担したほうが得策かもしれません。
なお、水道はときどき放水が必要になるので、不動産会社に頼むか、近所であれば自分で定期的に行ってもよいでしょう。

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マンション売却で戻ってくる費用

住宅ローン保証料の返戻金

マンションを売却すると、戻ってくる費用もあります。

その一つが住宅ローン保証料の返戻金です。

住宅ローンを借りるときには、返済が滞った場合に備えて保証料を支払うケースがあります。
最近はネット銀行などで保証料を不要としている住宅ローンもありますが、都市銀行などではまとまった金額の保証料を一括で支払う場合が一般的です。

この保証料は返済期間中のローン返済を保証するものなので、マンション売却により返済の途中で全額繰り上げ返済した場合は残りの返済期間分の保証料が戻ってきます。

といっても返済期間の半分で全額繰り上げ返済したから保証料も半分戻ってくるわけではありません。
保証料の返戻金はそれよりもかなり少なく、35年返済で借りた場合は10年後に全額繰り上げ返済しても3分の1程度しか戻ってこないのです。

また保証料の返戻金を受け取る際には保証会社の手数料として1万円前後が差し引かれるので、借入額や残りの返済期間によってはほとんど戻ってこないケースもあります。

実際に保証料の返戻金がいくらになるかは金融機関によっても異なるので、事前に確認しておきましょう。

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売却したマンションに掛けていた火災保険料の返戻金

万が一の火災に備えて、マンションの火災保険に加入している人も少なくないでしょう。
住宅ローンを借りる時に火災保険を勧められ、加入した人も多いと思います。

この火災保険の保険料も、一括で支払っている場合は、途中で解約すれば未経過分の保険料が戻ってきます。
火災保険は最長10年間の長期契約が可能なので、10年契約で一括払いとした場合は、契約から10年以内の解約であれば返戻金を受け取れるのです。

ただしマンションを売却しても保険会社には情報が伝わらないので、解約する場合は自分で保険会社に申し出なければなりません。
この手続きを怠ると返戻金が戻ってこないだけでなく、他人に売却したマンションに保険が掛けられたままの状態になるので注意してください。

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固定資産税・都市計画税の精算金

マンションを所有していると、固定資産税と都市計画税が毎年課税されます。
この税金は毎年1月1日時点で土地・建物を所有している人にかかるので、マンションを売却した年の税金は売主が納税しなければなりません。

そこでマンション売却の際には、引き渡した日を境に固定資産税・都市計画税を売主と買主が日割り計算によって精算することが慣習となっています。

売主と買主がいくらずつ負担するかは、日割り計算の起算日によって変わります。
不動産業界では起算日を1月1日とする地域と4月1日にする地域に分かれており、関東は主に1月1日、関西は主に4月1日としているようです。
ただし、関西の中でも京都は1月1日にしているなど例外もあります。

例えば固定資産税と都市計画税の合計が10万円のマンションを7月1日に引き渡したケースでは、起算日によって精算額は以下のように変わる計算です。

起算日による精算額の違い

固定資産税・都市計画税:10万円、引渡日:7月1日のケース

【1月1日を起算日とする場合】
・売主の負担:10万円×181日(1月1日~6月30日)/365日=4万9589円
・買主の負担:10万円×184日(7月1日~12月31日)/365日=5万411円

【4月1日を起算日とする場合】
・売主の負担:10万円×91日(4月1日~6月30日)/365日=2万4932円
・買主の負担:10万円×274日(7月1日~12月31日)/365日=7万5068円

管理費・修繕積立金・駐車場使用料などの精算金

マンションを所有していると管理費や修繕積立金、駐車場使用料などが毎月かかります。
これらの費用は翌月分を前払いするのが通常で、数カ月分を前払いするケースもあります。

したがってマンション売却によって引渡日以降の費用を売主が負担していた場合は、日割り計算で精算することになります。
通常は不動産会社が日割り計算をして買主に請求してくれるので、売主はその費用分の領収書を用意しておきます。

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マンション売却でかかる税金と各種控除

売却益が出た場合の譲渡所得課税

マンションを売却したときに、買ったときの価格よりも高く売れて売却益が出た場合は、その売却益に対して所得税がかかります。
これがいわゆる譲渡所得課税(所得税・住民税)です。

譲渡所得課税は売却益(譲渡所得)に税率をかけて税額が計算されます。
土地や建物などの不動産の譲渡所得については以下の計算式で求められます。

譲渡所得の計算式
譲渡所得=収入金額-取得費-譲渡費用

収入金額とはマンションを売却した金額のこと。
ほかに固定資産税・都市計画税の精算金も含みますが、管理費や修繕積立金の精算金は含みません。

また取得費とは売ったマンションを購入したときの代金や費用のことで、譲渡費用は売却したときの費用のことです。
取得費と譲渡費用には以下の費用が含まれます。

取得費

・マンションの購入代金
・購入時にかかった税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税など)
・仲介手数料
・リフォーム費用
・住宅ローンの借り入れから入居までにかかった利子

譲渡費用

・仲介手数料
・売買契約時の印紙税
・貸していたマンションを売るため、借家人に住戸を明け渡してもらうために支払った立退料
・売買契約締結後、さらに有利な条件で売るために最初の契約者に支払った違約金
・借地上のマンションを売るときに地主の承諾を得るために支払った名義書換料など

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取得費から減価償却費を差し引く

マンションの建物は年月の経過によって価値が減少していきます。
そのため、経過年数に応じた減価償却費を建物分の取得費の合計額から差し引くことになります。
マンションの減価償却費は以下の計算式で算出されます。

マンション(居住用、鉄筋コンクリート造)の減価償却費の計算式
減価償却費=建物分の取得費×90%×償却率(0.015)×経過年数

例えば建物価格が3000万円のマンションを7年後に売却した場合の減価償却費は以下の計算式で求められます。

マンションの減価償却費の計算例

【設定条件】
建物購入価格:3000万円
建物分購入時費用:90万円
経過年数(所有年数):7年

【減価償却費】
(建物購入価格3000万円+建物分購入時費用90万円)×90%×償却率0.015×経過年数7=292万50円

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譲渡所得課税の税率は所有期間によって変わる

譲渡所得税は譲渡所得に税率をかけて計算しますが、税率はマンションを所有していた期間によって変わります。
所有期間の区分は5年以下か5年超かで短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれ、所有期間が短い方が税率が高くなる仕組みです。
さらに所有期間が10年を超えるとマイホームの軽減税率の特例が受けられます。

所有期間による譲渡所得の違い

・所有期間5年以下:短期譲渡所得
・所有期間5年超:長期譲渡所得
・所有期間10年超:長期譲渡所得(マイホームの軽減税率の特例)

注意したいのは、所有期間が「売却(譲渡)した年の1月1日現在」でカウントされる点です。
仮にある年の5月1日に買った家を、5年後の6月1日に売ったとすると、売った年の1月1日現在ではまだ所有期間が5年未満なので短期譲渡所得となり、高い税率が適用されてしまいます。
長期譲渡所得とみなされるためには、翌年の1月1日以降に売却しなければなりません。

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短期譲渡所得(5年以下)の税率

所有期間が5年以下の短期譲渡所得の場合、税率は以下のようになります。

【短期譲渡所得の税率】
譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)

※復興特別所得税は税率2.1%を所得税に乗じた値

例えば4000万円で購入したマンションを4年後に5000万円で売却した場合の譲渡所得と税額は以下のように計算されます。

【短期譲渡所得の税額計算例】

【設定条件】
購入価格:4000万円(建物3000万円、土地1000万円)
購入時費用:120万円(建物分90万円、土地分30万円)
売却価格:5000万円
売却費用:172万6000円
経過年数(所有年数):4年

【譲渡所得】
収入金額(売却価格5000万円)-取得費(購入価格4000万円+購入費用120万円-減価償却費166万8600円※)-譲渡費用(売却費用172万6000円)=874万2600円

※ 減価償却費=(建物価格3000万円+建物分購入費用90万円)×90%×償却率0.015×経過年数4

【税額】
874万2600円×39.63%=346万4600円(100円未満切り捨て)

長期譲渡所得(5年超)の税率

所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合の税率は以下のようになります。

【長期譲渡所得の税率】
譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

※復興特別所得税は税率2.1%を所得税に乗じた値

例えば4000万円で購入したマンションを8年後に5000万円で売却した場合の譲渡所得と税額は以下のように計算されます。
短期譲渡所得の場合に比べて減価償却費が大きくなるので譲渡所得は増えますが、税率が下がるので税額は約135万円軽くなる計算です。

【長期譲渡所得の税額計算例】

【設定条件】
購入価格:4000万円(建物3000万円、土地1000万円)
購入時費用:120万円(建物分90万円、土地分30万円)
売却価格:5000万円
売却費用:172万6000円
経過年数(所有年数):8年

【譲渡所得】
収入金額(売却価格5000万円)-取得費(購入価格4000万円+購入費用120万円-減価償却費333万7200円※)-譲渡費用(売却費用172万6000円)=1041万1200円

※ 減価償却費=(建物価格3000万円+建物分購入費用90万円)×90%×償却率0.015×経過年数4

【税額】
1041万1200円×20.315%=211万5000円(100円未満切り捨て)

所有期間が10年以上の場合の軽減税率の特例

所有期間が10年を超えると、譲渡所得のうち6000万円以下の部分については以下のように軽減税率が受けられます。

【長期譲渡所得の税率】
(所有期間10年超のマイホームの軽減税率の特例)

譲渡所得6000万円以下の部分:
譲渡所得×14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)

譲渡所得6000万円超の部分:
譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

※復興特別所得税は税率2.1%を所得税に乗じた値

例えば4000万円で購入したマンションを15年後に5000万円で売却した場合、軽減税率の特例が適用されると税額は以下のように計算されます。
所有期間8年のケースと比べて税額が約22万円軽くなる計算です。

【長期譲渡所得の税額計算例】
(所有期間10年超のマイホームの軽減税率の特例)

【設定条件】
購入価格:4000万円(建物3000万円、土地1000万円)
購入時費用:120万円(建物分90万円、土地分30万円)
売却価格:5000万円
売却費用:172万6000円
経過年数(所有年数):15年

【譲渡所得】
収入金額(売却価格5000万円)-取得費(購入価格4000万円+購入費用120万円-減価償却費625万7250円※)-譲渡費用(売却費用172万6000円)=1333万1250円

※ 減価償却費=(建物価格3000万円+建物分購入費用90万円)×90%×償却率0.015×経過年数15

【税額】
1333万1250円×14.21%=189万4300円(100円未満切り捨て)

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譲渡所得のマイホーム(居住用財産)の3000万円特別控除

自宅のマンションを売却する場合は、譲渡所得税について各種の特例や控除が利用でき、税額を軽減することが可能です。
代表的なものが「マイホーム(居住用財産)の3000万円特別控除」(以下、3000万円特別控除)です。

この3000万円特別控除は、マンションを売却したときの譲渡所得から3000万円を差し引けるというものです。
つまり、税額の計算式は以下のようになります。

3000万円特別控除を利用した場合の税額計算式
(譲渡所得-3000万円)×税率=税額

この3000万円特別控除を利用すれば、3000万円までの譲渡所得は課税されません。
なお、利用するには以下の要件を満たす必要があります。

3000万円特別控除を利用するための要件

・住んでいる自宅を売却するか、住まなくなった日から3年目の年末までに自宅だった住宅を売却すること等
・売却した年の前年または前々年に同じ3000万円特別控除、または次に述べる買換え特例や譲渡損失の繰越控除を利用していないこと
・売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係でないこと

買い替えなどで自宅だったマンションから引越してから売却する場合でも、住まなくなって3年目の年末まで売却すれば3000万円特別控除が利用できます。
また、売却した年の2年前までに同じ3000万円特別控除や、その他の特例などを利用していないことが要件です。

なお、夫婦などで共有していたマンションを売却した場合は、共有者それぞれが3000万円特別控除を利用できます。
その場合は譲渡所得を共有者の持分比率に応じて按分しますが、夫婦2人なら最大で6000万円の譲渡所得まで税額がゼロになるのです。

また、3000万円特別控除を利用すると、利用した年の前後2年間(利用した年も含めて5年間)は買い替え先のマンションで住宅ローン控除が利用できなくなるので注意が必要です。
マンションを買い替えるときには、3000万円特別控除を利用するか、住宅ローン控除を利用するか、どちらか得なほうを選ぶ必要があります。

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買い替えの場合に利用できる買換え特例

自宅を買い替えるためにマンションを売却する場合に利用できるのが「特定のマイホーム(居住用財産)の買換えの特例」(以下、買換え特例)です。

買換え特例とは、売却したマンションの売却価格よりも高い価格の住宅に買い替えた場合に、譲渡所得に対する課税を次回の売却まで繰り延べることができる制度です。
例えばマンションの売却で4000万円の譲渡所得が出たとしても、この買換え特例を使えばこの段階では譲渡所得に課税はされません。

ただしあくまで課税が繰り延べられるだけなので、次にマンションを売却したときに仮に1000万円の譲渡所得が出たとすると、前回繰り延べた4000万円と合わせて5000万円の譲渡所得が課税対象になります。

この買換え特例を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

買換え特例を利用するための要件

(1)自分が住んでいる住宅を売ること。以前に住んでいた家の場合は、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
(2)売った年の前年と前々年に買換え特例や3000万円特別控除、10年超所有の場合の軽減税率の特例、譲渡損失の繰越控除を利用していないこと
(3)売却価格が1億円以下であること
(4)居住期間が通算10年以上で、所有期間が10年超であること
(5)買い替え先の住宅の床面積が50m2以上
(6)自宅を売った年の前年から売った年の翌年までの3年間に買い替え先の住宅を取得すること
(7)買い替え先の住宅が築25年以内、または(耐火建築物以外の場合は取得期限までに)一定の耐震基準を満たすもの
(8)親子や夫婦など特別な関係がある人に対して売ったものではないこと

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売却損が出た場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除

これまではマンションを売却して売却益(譲渡所得)が出た場合の税金について解説してきましたが、売却したマンションが購入したときより値下がりして売却損(譲渡損失)が出るケースもあります。

譲渡損失が出た場合は譲渡所得に対する課税は当然ゼロになります。
それだけでなく、給与所得など他の所得と譲渡損失を相殺し、所得税や住民税を軽減することが可能です。
これを損益通算と呼びます。

さらに譲渡損失の額が大きく、他の所得と相殺しきれない場合は、翌年から最長3年間にわたって損失を繰り延べて所得と相殺することができます。
つまり1年目の損益通算と合わせて最長4年間の所得がゼロになるか減額になるので、所得税や住民税がゼロか軽減になるのです。
これが「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」(以下、譲渡損失の損益通算・繰越控除)と呼ばれる制度です。

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買い替えと売却のみの場合で異なる譲渡損失の損益通算・繰越控除

譲渡損失の損益通算・繰越控除を利用するには、「自宅または自宅だったマンションを売却すること」「所有期間5年超」「所得金額3000万円以内」などの要件を満たす必要があります。
また売却した年を含めて3年前までに3000万円特別控除や買換え特例などを利用していないことも要件です。

ただし買い替えの場合に買い替え先の住宅で住宅ローン控除を利用することは可能です。
譲渡損失の損益通算・繰越控除を利用した後に所得が発生する年以降は、住宅ローン控除で所得税や住民税を減らすことができるのです。

譲渡損失の損益通算・繰越控除を利用するための要件

・自分が住んでいる住宅を売ること。以前に住んでいた家の場合は、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
・売った年の前年と前々年に3000万円特別控除や10年超所有の場合の軽減税率の特例、買換え特例、譲渡損失の損益通算・繰越控除を利用していないこと
・所有期間が5年超であること

また譲渡損失の損益通算・繰越控除には、マンションを買い替えた場合に利用できるタイプと、買い替えずに売却のみの場合に利用できるタイプがあります。

買い替えた場合のタイプでは買い替え前後の住宅の広さに一定の要件があるほか、売却した年の前後3年間に新居を取得することなどが要件になります。
また新居の購入では住宅ローンを借りることも要件です。

買い替えた場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除除の要件

・売却した住宅の敷地面積が500m2以内(500m2を超える部分の譲渡損失は対象外)
・買い替え先の住宅の床面積が50m2以上
・自宅を売却した年の前年1月1日から翌年12月31日までに新居を取得し、取得した年の翌年12月31日までに入居、または入居の見込みであること
・返済期間10年以上の住宅ローンを借りて新居を取得すること
・合計所得金額が3000万円以内(この要件を満たさない年は繰越控除の適用はありません。)

一方、売却のみの場合のタイプは、売却価格が住宅ローン残高を下回っていること、いわゆる「担保割れ」しているケースが対象です。

売却のみの場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除の要件

・売却の前日に売却住宅に返済期間10年以上の住宅ローン残高があり、売却価格が住宅ローン残高を下回っていること
・合計所得金額が3000万円以内(この要件を満たさない年は繰越控除の適用はありません。)

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譲渡所得税と控除の確定申告と納税手続き

マンションを売却して譲渡所得が発生した場合は、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。
なお、譲渡損失が発生して繰越控除を利用する場合は、2月15日以前でも申告が可能です。

いずれの場合も税務署で申告書が入手できるほか、国税庁のホームページにある「確定申告書作成コーナー」を利用してパソコンで申告書を作成したり、電子申告することもできます。

納税は申告時期と同じ期間中に税務署か金融機関で手続きします。
申告の際に振替納税の手続きをすれば、4月20日前後に指定口座から税額が自動引き落としされます。
また延納の手続きをすれば納付期限までに税額の2分の1を納付し、2022年の場合、5月31日までに残額を納付することもできますが、延納期間中は年0.9%の利子税が加算されます。

なお、所得税の確定申告をすれば住民税の手続きは改めてする必要はなく、給与所得者であれば勤務先が給与から天引きします。
自営業者などは申告した年の5月以降に市町村から納付書が送られてくるので、一括払いか年4回の分割払いで納税します。

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マンション売却に関するQ&A

住宅ローンが残っていても売却できるの?

売却するマンションに住宅ローンが残っていても、買主に引き渡す時点でローンの残額を一括返済し、金融機関の抵当権を抹消できれば問題ありません。
通常はマンションの売却代金からローンの残額を支払いますが、もし売却代金よりローン残額のほうが多い「担保割れ」の状態であれば、手持ち資金などで足りない分を返済する必要があります。

担保割れの状態でローン残額を完済する資金がない場合は、「任意売却」という方法もあります。
任意売却とは売却時に金融機関に抵当権を抹消してもらい、売却後もローンの残額を返済し続ける方法です。
任意売却では売却したお金の中から引越し代を確保できるメリットもあります。
ただし任意売却の手続きに詳しい不動産会社に依頼する必要があるので注意してください。

また、任意売却する以前の段階で住宅ローンの返済が滞ると、金融機関が加盟する信用情報機関に事故情報として登録され、新規のローンが組めなくなる場合があるので注意が必要です。
ローンの返済が苦しくなった場合は、早めに銀行に相談しましょう。

▼詳しく記事を読む
住宅ローン返済中の家でも売却できる!残債がある家を売るときに気を付けたい5つのポイント

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居住中のマンションでも売却できる?

マンションに居住している状態でも売却はできます。
退去のリミットは買主に引き渡す時点なので、引き渡しの直前までは居住していてもかまいません。

マンションの売買契約から引き渡しまでは1週間前後が通常なので、その間に引越しをすればよいのです。
引越しに手間がかかる場合は、買主と交渉して引き渡し時期をずらしてもらうことも可能です。

住みながらの売却では、購入検討者が内覧するときに室内を片付けるなどの手間がかかります。
逆に売却活動の前にマンションを退去するには、住み替え先の賃貸住宅などを借りなければならず、家賃などの負担が発生します。
買い替え先の自宅を先に購入すれば仮住まいの家賃負担は発生しませんが、住宅ローンが残っている場合は一括繰り上げ返済をしないと、新居のローンを組むことが難しくなります。

住みながら売却するか、売却する前に住み替えるかは、メリット・デメリットを考慮して決めるようにしましょう。

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マンションの売却費用、現金はいくら必要?

マンションを売却するときにはいろいろな費用がかかります。
それらの費用はいずれも現金で支払う必要があるので、あらかじめ用意しておかなければなりません。

まず最も大きな費用が不動産会社に支払う仲介手数料です。
金額は「売却価格×3%+6万円+消費税」が基本なので、仮に売却価格が5000万円とすると最大で171万6000円になります。
支払うタイミングは売買契約時と引き渡し時に半額ずつというケースが一般的です。

住宅ローンが残っている場合は、金融機関の抵当権を抹消する費用がかかります。
費用の内訳は登録免許税と司法書士への報酬です。
また住宅ローンを一括繰り上げ返済するための手数料も金融機関に支払います。
いずれも一つ一つの費用は少額ですが、合計すると数万円が必要です。

買主と売買契約を結ぶときには印紙税もかかります。
契約書に貼る印紙代のことで、売却金額により1万~6万円程度です。

このほか、新居への引越し費用も必要です。
金額はケースバイケースですが、春や秋の引越しシーズンは料金が高めになったり、仮住まいする場合は引越しが2回になったりするので注意しましょう。

◆マンション売却に必要な現金の目安

仲介手数料

売却を依頼した不動産会社への報酬。契約時と引き渡し時に分けて支払うことが多い
金額の目安:売却価格×3%+6万円+消費税が基本

抵当権抹消費用

住宅ローンの抵当権抹消登記にかかる登録免許税と司法書士への報酬
金額の目安:登録免許税が2000円、司法書士報酬が1万円前後

一括繰り上げ返済手数料

住宅ローンの一括繰り上げ返済をするときに銀行に支払う手数料
金額の目安:5000~3万円前後

印紙税

売買契約書に貼る印紙代
金額の目安:売却金額により1万~6万円程度

引越し費用

新居への引越し費用。仮住まいが必要な場合は2回分かかる
金額の目安:季節や荷物量などによりケースバイケース

売却時にハウスクリーニングやリフォームはしたほうがいい?

マンションを売却するときにハウスクリーニングやリフォームをすると見栄えがよくなり、売却しやすくなることは事実のようです。
ただしクリーニングやリフォームにかけた費用の分だけ高く売れるとは限りません。
特にリフォームは多額の費用がかかるので、あまり大きな費用対効果が見込めないケースも少なくないでしょう。

特に最近では中古マンションを買って自分でリノベーションする人が増えています。
そのような指向のある買主にとっては、むしろリフォーム済みの物件は割高で購入対象から外される場合もあるのです。

したがってハウスクリーニングやリフォームを実施するかどうかは不動産会社とも相談し、慎重に判断すべきでしょう。
室内をきれいに片付け、汚れが目立つ部分はハウスクリーニングも実施する程度が得策かもしれません。

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不動産会社を介さずに売却してもいい?

不動産会社を介さずにマンションを売却することは可能です。
ただし不動産会社と媒介契約を結ばないか、一般媒介契約または専任媒介契約で契約することが前提になります。
不動産会社と専属専任媒介契約を結んだ場合は、売主が自分で発見した相手との取引が禁じられるのです。

とはいえ、不動産会社を介さないマンション売却はリスクが伴います。
契約書など必要な書類を自分でそろえなければなりませんし、なにかトラブルが発生したときにも自分で解決しなければならないのです。

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不動産の個人売買はお得?リスクと手間を徹底解説

不動産会社を介すると仲介手数料がかかりますが、書類作成の手間やトラブルなどのリスクはある程度回避できます。
プロである不動産会社に依頼したほうが、結局は安全に、しかも適正な価格でマンションを売却できる可能性が高いといえます。

媒介契約の種類による違い
  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数社との契約 × ×
売主自らが発見した相手との取引 ×
指定流通機構への登録 任意 7営業日以内(※1) 5営業日以内(※1)
売主への業務報告 任意 2週間に1回以上 1週間に1回以上
契約期間 制限なし(※2) 3カ月以内
(※1)媒介契約締結日の翌日から
(※2)標準媒介契約約款では3カ月以内

売却をやめたら仲介手数料は払わなくていい?

不動産会社に支払う仲介手数料は、売買契約が成立した場合の成功報酬と位置付けられています。
したがって、媒介契約を締結後にマンションの売却をやめて売買契約に至らなかった場合は、仲介手数料を支払う必要はありません。

売却活動中に不動産会社は広告費や営業担当の人件費などを負担しているわけですが、それらの費用も原則として請求されることはありません。
ただし、遠隔地の購入希望者との交渉で出張したり、通常は行わない特別な広告宣伝を行った場合など、売主の依頼で発生した費用については、実費を請求される場合があります。

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共有名義の場合、売却費用は誰が払う?

マンションを複数の人が所有する共有名義としている場合、売却にかかる費用は原則として共有者全員で負担します。
共有名義のマンションでは共有者の持ち分比率が決められているので、費用の負担割合も持ち分比率に合わせるのが原則です。

なお、共有名義のマンションを売却する場合には、共有者全員の合意が必要です。
共有者のうち一人でも合意しない人がいると、そのマンションは売却できなくなるので注意してください。
ちなみに別の共有者の持ち分を買い取ったり、逆に自分の持ち分を買い取ってもらうことは可能です。

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3000万円特別控除と買換え特例、どっちがトク?

マンションの売却で発生した売却益(譲渡所得)には、所得税や住民税がかかります。
ただし各種の控除や特例を使えば、税額をゼロにできたり、大幅に軽減することが可能です。
そうした減税制度の代表的なものが、3000万円特別控除と買換え特例です。

3000万円特別控除とは、譲渡所得のうち3000万円までは税金がゼロになる制度のこと。
また買換え特例とは、自宅の売却価格より高い価格の住宅に買い替えた場合に、次回の売却まで譲渡益への課税が繰り延べられる制度です。

両方の制度を併用はできないので、利用する場合はどちらかを選ぶ必要があります。
譲渡所得が3000万円以下であればどちらを選んでも税額はゼロになりますが、買換え特例は次回の売却時に課税が繰り延べられた譲渡益が加算される点に注意が必要です。

したがって譲渡所得が3000万円以下であれば3000万円特別控除を選ぶのが原則といえるでしょう。
譲渡所得が3000万円を超える場合は、買い替え先のマンションをさらに売却する予定があるかどうかで判断する必要があります。

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売主の瑕疵担保責任とは?

マンションの売買契約では、売主の瑕疵(かし)担保責任についてルールを定める必要があります。
瑕疵担保責任とは、物件に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合に、買主が売主に対して損害賠償や契約解除を請求できるという規定です。

売主が個人の場合は、床の傷や壁紙のはがれといった軽微な不具合については「現況引き渡し」として売主の責任を免除するケースが一般的です。
ただし雨漏りや給排水管の漏水など大きな欠陥については、2~3カ月間の瑕疵担保責任期間を設ける場合が通常です。

なお、瑕疵担保責任の対象となるのはあくまで「隠れた瑕疵」なので、売主が事前に知っていた瑕疵は対象外です。
もし瑕疵を知っていた場合は契約時に明示しなければなりませんが、雨漏りや水漏れを知ったうえで購入する買主はほとんどいないでしょう。
したがって売却前に瑕疵が判明した場合は、売主の責任で補修してから売却する必要があります。

また買主の中には売主の瑕疵担保責任を免除する代わりに値引きを要求してくるケースもあり得るので、その場合にどう対処するかは事前に不動産会社と相談しておきましょう。

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まとめ

マンションを売却するときには、通常かかる費用と、ケースによってかかる費用があります。
なかには仲介手数料のように百万円単位でかかる費用もあるので、どのような費用がいくらぐらいかかるのか、事前に確認しておきましょう。

逆にマンションを売却すると戻ってくる費用や精算される費用もあります。
住宅ローンの保証料や火災保険料、すでに納めた固定資産税や管理費などです。
こちらの戻ってくる費用についても、項目や金額について確認が必要です。

さらに重要なのがマンションの売却にかかる税金です。
売却で得た売却益には所得税などがかかりますが、各種控除や特例で税額を大幅に軽減できるケースもあります。
逆に売却損が発生した場合には、その他の所得と相殺して税金を取り戻せる制度もあるのです。

税金の控除や特例を受けられるのはどのようなケースなのか、必要に応じて不動産会社や税理士などに相談しておきましょう。

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イラスト/カワモトトモカ

●監修/税理士法人タクトコンサルティング
資産税コンサルティングの草分けとして、長年にわたり、個人の相続・譲渡や贈与など、法人の事業承継、組織再編、M&Aなど、個人・法人の資産税に関わるコンサルティングを手がけている。
●構成・取材・文/大森広司
住宅系シンクタンク・オイコス代表。住宅ジャーナリスト。SUUMOなど多くの住宅系メディアで取材・執筆などを行う
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