不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

失敗しない! マンション売却の流れ・注意点・費用を徹底解説

失敗しない! マンション売却の流れ・注意点・費用を徹底解説

マンションの売却を成功させるには、売主自らが売却の流れや売却額の相場を把握しておくことが大切です。信頼できる不動産会社の選び方やマンションの売却活動などの知識をつけ、よいタイミングで計画的な活動を行えば、売却が成功する可能性が高まります。本記事では、マンション売却の流れや平均売却期間・価格、売却のコツなどを解説します。

記事の目次

失敗しない!マンション売却の流れ

マンションを売却するときの流れを確認しておきましょう。まず、不動産会社にマンションの価格査定を申し込む前に、不動産情報サイトなどを利用して周辺相場を調べます。相場が把握できたら、インターネットなどから複数の不動産会社に簡易査定を申し込み、さらに数を絞り込んで訪問査定を依頼します。

訪問査定の結果を受けて媒介契約を結ぶ不動産会社を決め、売却活動を開始します。売却活動の開始後には物件の内覧を行ったり、必要に応じて売出価格を見直したりする必要があります。

買主が見つかったら売買契約を結び、その後に残代金を受け取って鍵を引き渡します。引き渡しが済んだら、翌年に譲渡所得を申告して納税すれば売却は完了です。

マンション売却の流れ

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1. 売却したいマンションの相場を確認する

マンションを売却するには、どのくらいの価格で売れそうなのかを不動産会社に査定してもらう必要があります。いきなり不動産会社に価格査定を依頼する方法もありますが、まずは自分で周辺のマンション売却価格の相場を調べたうえで、査定を申し込むのがおすすめです。自ら調べて相場観を養えば、不動産会社の担当者の説明をより理解しやすくなります。

マンションの相場を確認するには、インターネットの物件情報サイトを利用して、地域や広さ、築年数などの条件が近いマンションの売出価格を確認します。大規模マンションであれば、同じ建物内に複数の物件が売りに出ているかもしれません。住所が近い物件だけでなく、同じ最寄駅で駅徒歩分数が同じくらいの物件や、近隣の駅の似た条件の物件価格などもチェックすることをおすすめします。

注意したいのは、住宅関連サイトに掲載されているのは、実際に売れた価格ではなく、あくまで売り出し中の価格だということです。実際に売れた価格を知りたい場合には、国土交通省の「土地総合情報システム」が参考になります。

土地総合情報システム

2. 不動産会社にマンションの簡易査定を依頼する

周辺マンションの相場がある程度把握できたら、次に不動産会社に簡易査定を申し込みます。簡易査定とは、物件の住所や築年数、間取り、広さといった限られた情報だけで価格を査定するもので、机上査定と呼ばれる場合もあります。

簡易査定はインターネットなどから手軽に申し込むことができ、申し込みから2~5営業日程度で査定価格が連絡されることが一般的です。ただし、物件のデータが限られる分、提示される査定価格と実際の取引価格との差は大きくなりやすい傾向があります。不動産会社によっても査定価格は異なります。

簡易査定は不動産会社によって判断基準が異なるため、複数社に依頼することをおすすめします。相場と比べて査定価格が極端に高かったり、逆に低すぎたりする不動産会社は依頼先の候補から外した方が無難です。簡易査定は最低でも4~5社以上に申し込み、各社の査定価格を比較・検討して、不動産会社を絞り込みます。

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▶マンションの売却価格査定例を見る

3. 不動産会社を絞って訪問査定を依頼する

簡易査定で複数の不動産会社から査定価格が提示されたら、金額の妥当性や担当者の応対などでさらに3社程度に絞って訪問査定を依頼します。不動産会社の担当者に売却予定のマンションに実際に訪問してもらい、現地で調査した内容から査定額を決めるもので、詳細査定とも呼ばれています。

訪問査定では建物の内外装の傷み具合、設備の状態・故障の有無、周辺環境や日照条件などが確認されるだけでなく、共用部分の状況や管理の状態なども調査されます。マンションに関する詳細な情報をもとに査定が行われるため、訪問査定をしてから査定価格が提示されるまでには通常、1週間から10日間程度がかかります。

不動産会社から査定価格が提示されたら、比較・検討して売却を依頼する不動産会社を決定します。その際は価格の妥当性だけでなく、不動産会社の担当者による説明や対応などを総合的に考慮して判断することをおすすめします。

4. 不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産会社に売却を依頼するときには、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には、

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

の3種類があります。

一般媒介契約では、同時に複数の不動産会社と契約できます。契約した不動産会社の中から、マンションの買主を見つけて売買契約を結ぶことができた不動産会社に成功報酬として仲介手数料を支払います。この契約では、売主が自分で買主を見つけて、不動産会社を介さずに売却することも可能です。

一般媒介契約では、指定流通機構(レインズ)への物件情報の登録は任意です。レインズとは、不動産会社が加入する物件情報のネットワークで、レインズに情報を登録すれば、すべての不動産会社が物件情報を閲覧でき、買主を見つけやすくなります。また不動産会社による売主への売却活動の業務報告はしてもしなくてもかまいません。

一般媒介契約の契約期間は法律では制限が設けカられていませんが、国土交通省が推奨する標準媒介契約約款では3カ月以内とされています。

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これに対して、同時期に1社としか契約できないのが「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」です。契約するのが1社だけなので、売却の成功報酬である仲介手数料は必ずその不動産会社に支払われます。ただし、専任媒介契約でも売主が自分で買主を見つけて取引することは禁じていないので、その場合には仲介手数料を支払わずに売却することは可能です。

専任媒介契約と専属専任媒介契約とでは、レインズへの物件情報の登録が不動産会社に義務付けられます。登録するまでの期限は専任媒介契約が7営業日以内、専属専任媒介契約が5営業日以内です。

売主への業務報告も義務付けられています。専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上、行わなければなりません。契約期間はどちらも法律で3カ月以内と定められています。

媒介契約のタイプによるルールの違い
  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数社との契約 × ×
売主自らが発見した相手との取引 ×
指定流通機構への登録 任意 7営業日以内(※1) 5営業日以内(※1)
売主への業務報告 任意 2週間に1回以上 1週間に1回以上
契約期間 制限なし(※2) 3カ月以内
(※1)媒介契約締結日の翌日から (※2)標準媒介契約約款では3カ月以内

5. マンションの売出価格を決める

不動産会社と媒介契約を結んで、マンションの売却活動を開始するには、まず売出価格を決める必要があります。不動産会社が提示する査定価格は「この価格なら売れるだろう」と予測される価格です。確実に売れる価格を設定すれば、スピーディーに買主を見つけられる可能性が高まります。

ただし、多くの売主はできるだけ高く売りたいと希望するため、査定価格通りではなく、少し上乗せした価格で売り出されることが一般的です。どの程度の額を上乗せするのが適正なのかは相場の状況や売却希望期間などで異なるため、不動産会社と相談して決めましょう。

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6. マンションの売却活動を行う

売出価格が決まったら、いよいよ売却活動のスタートです。広告や購入検討者への対応といった売却活動自体は不動産会社の仕事なので、売主としてすべきことは、まずマンションの内覧に向けた準備です。

売却活動中には、売却を依頼した不動産会社や、ほかの不動産会社の担当者が購入検討者を案内して内覧に訪れます。内覧に備えるため、掃除したり、不要なものを片付けたりなどで、室内を整えておくことが大切です。室内を汚れた状態にせず、きれいにして余計なものを片付けておけば、清潔感があり、丁寧に暮らしているとマンションの印象を高められるほか、室内を広く見せる効果もあります。マンションの印象アップによる、有利な売却にもつながります。

室内の片付けや掃除が苦手な人は、ハウスクリーニング、ホームステージングの専門会社に依頼して、室内のイメージを改善するのもおすすめです。ホームステージングとは室内をモデルルームのように飾り付け、内覧に来た購入検討者によいイメージを与えて購入意欲を高める手法です。ハウスクリーニングもホームステージングも相応の費用が必要ですが、売却を有利に進める効果が期待できます。

ただし、室内をリフォームするかどうかは慎重に検討する必要があります。リフォームで内装や設備を取り替えれば、室内はきれいになり、購入検討者の印象はよくなります。ただし、リフォームには多額の費用がかかる一方、かけた費用を売却価格にプラスできるとは限りません。

売却活動を続けているにもかかわらず、買主が見つからない場合には、価格の見直しを検討する必要もあります。見直しのタイミングは状況によって異なりますが、売り出しから1〜2カ月たっても買主が見つからない場合には、値下げを検討することをおすすめします。

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7. 価格交渉を行い、売買契約を交わす

売却活動の結果購入希望者が現れたら、不動産会社から売主に購入申込書が送付されます。購入申込書は商習慣上のもので、法的な効力はありませんが、購入希望者が希望する条件が記載されている重要な書類です。購入申込書が届いたら、購入希望価格や引き渡しの希望時期などの重要事項を確認します。

購入希望価格が売出価格通りであれば問題はありませんが、値引き交渉が入ることも少なくありません。値引き交渉が入った場合には不動産会社の担当者とも相談して、価格交渉を行います。

価格交渉は、購入希望者が提示した値引き後の価格でそのまま決まるわけではありません。互いの希望を出して交渉し、どこまで値下げに応じるかは重要なポイントになります。あらかじめ売却希望価格の下限を決めておけば、スムーズに交渉を進められます。

交渉の内容としては、例えば「売出価格と購入希望価格の中間まで値下げする」とか、「値下げする代わりに引き渡し時期を売主の都合に合わせてもらう」などといった方法が考えられます。

価格交渉がめでたく成立したら、不動産会社を介して売渡承諾書を送付し、売買契約に進みます。売買契約ではさまざまな書類や資料が必要です。運転免許証などの本人確認資料のほか、実印や印鑑証明書などが挙げられ、さらにマンションが親子や夫婦の共同所有であれば、共有者全員分の実印と印鑑証明書も必要です。

登記済権利証または登記識別情報通知書も重要な書類です。住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消登記や所有権を買主に移転する登記手続きに必要です。

そのほか、マンションを購入したときの契約書、重要事項説明書、パンフレットや管理規約・使用細則なども、買主に引き渡せるよう用意しておきます。

なお、売買契約時には仲介手数料の半額を不動産会社に支払うケースが一般的です。

◆マンション売却の売買契約に必要な書類・資料

本人確認資料
運転免許証やパスポートなど

実印
共有の場合は共有者全員分

印鑑証明書
発行から3カ月以内のもの。共有の場合は共有者全員分

登記済権利証または登記識別情報通知書
自宅の内容確認や登記の際に必要

固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書
固定資産税・都市計画税の税額確認に必要

その他
購入時のパンフレット、契約書・重要事項説明書、管理規約・使用細則など

8. 決済をして、マンションを引き渡す

買主と売買契約を結んだら、売却したマンションを買主に引き渡します。買主が住宅ローンの借り入れを利用するケースでは、住宅ローンを受けられる日を考慮して引き渡し日を決定します。引き渡し日は不動産会社を介して調整することが可能です。住宅ローンの残債がある場合には、売主側も抵当権の抹消を金融機関に申し入れておくなどの準備が必要です。

買主が住宅ローンを利用するケースでは、借り入れを申し込む銀行に関係者が集まって手続きをします。この手続きは銀行が営業している時間、つまり平日の昼間に行われるのが一般的です。

引き渡しの当日はまず買主が銀行に住宅ローンを実行してもらって残代金を売主に支払い、売主は残っている住宅ローンを繰り上げ完済します。次に売主の抵当権の抹消と、買主への所有権の移転の登記手続きを司法書士に依頼します。さらにマンションの鍵や書類を買主に引き渡し、最後に不動産会社に残りの仲介手数料(通常は半額)を支払って手続きが終了します。

引き渡し日の流れ

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9. 確定申告をして税金を納める

マンションを売却して発生した売却益には、所得税がかかるため、翌年に確定申告をしなければなりません。

譲渡所得への課税は給与所得などの所得税とは切り離し、独自の税率をかけて税額が算出されます。税率はマンションの所有期間で変わってきます。5年以下の「短期譲渡所得」は39.63%(住民税、復興特別所得税を含む。以下同)、5年超の「長期譲渡所得」は20.315%です。

自宅マンションを売却したときには、3000万円の譲渡所得まで税金がかからない「3000万円特別控除」や、買い換える場合に課税を繰り延べできる「買換え特例」などを利用できます。さらに、自宅マンションを売却して損失が出た場合には、通算4年分のほかの所得と相殺して税額を軽減できる「譲渡損失の繰越控除」を利用可することが可能です。

◆マンションを売却したときの課税と使える特例

譲渡所得課税
不動産を売却して得られた譲渡所得に対して所得税と住民税などが課税される。合計の税率は所有期間5年以下の短期譲渡所得が39.63%、5年超の長期譲渡所得が20.315%

3000万円特別控除
自宅のマンションを売却したときに、譲渡所得から3000万円を控除できる。利用できるのは3年に一度のみ。住宅ローン控除との併用は不可

買換え特例
自宅のマンションを売却して買い替えた場合に、譲渡所得のうち買い替え先の住宅の代金相当額までは課税を繰り延べる。住宅ローン控除との併用は不可

譲渡損失の繰越控除
自宅のマンションを売却して譲渡損失が出た場合に、売った年から最長4年間の所得から損失額を繰り越して控除できる。控除が終わった年以降は住宅ローン控除を適用可能

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マンションの売却に必要な費用

マンションを売却した場合、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。マンションの売却時には仲介手数料はもちろん、印紙税、所得税などの税金、登記費用などの費用がかかります。マンション売却時の費用は売却予定額からあらかじめ計算できるため、事前に計算して考慮に入れておけば、売却後の資金管理もスムーズに行えます。

仲介手数料

仲介手数料とは、仲介契約を結んだ不動産会社に支払う手数料のことです。不動産会社の仲介でマンションの買主が決まった場合に発生する手数料であり、マンションの売却先が決まらないときには発生しません。

仲介手数料の金額は宅地建物取引業法によって上限が定められています。不動産会社は上限までの範囲で仲介手数料の金額を設定できます。売主に請求できる仲介手数料の上限額は、売却額400万円以下の場合には「18万円 + 消費税」(2018年1月に施行された「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」によります)、400万円を超える場合には「取引額(消費税抜き)×3%+6万円+消費税」です(売却額が400万円以下の場合、買主に請求できる上限額は上記とは異なります)。

例えば、マンションの売却額が3000万円の場合には消費税込みで105万6000円、5000万円では消費税込みで171万6000円の仲介手数料がかかります。売買成立時に仲介手数料が発生してからも売買の手続きはまだ残っているため、通常は契約時に全額を支払うことはありません。一般的に物件の売買契約時には手数料の半額を支払い、物件引き渡しの際に残りの半額を支払います。

印紙税

印紙税とは不動産の売買契約書の作成に必要な税金です。売買契約書には、契約書の売買代金が1万円未満の場合には収入印紙は不要で、売買代金が1万円を超えると収入印紙の貼付が必要です。記載されている物件の売買代金に応じて印紙税の金額が変わり、売買代金が高いほど高額になります。

不動産売買契約書の印紙税は、契約年度によって軽減税率が適用される場合もあります。2014年から2024年3月31日までの契約には軽減税率が適用されているため、かかる印紙税額は本則税率よりも低額です。売買代金が1000万円を超え5000万円以下の場合には本則税率では2万円の税額が軽減税率では1万円に、5000万円を超え1億円以下の場合には本則税率では6万円の税額が軽減税率では3万円になります。

売買契約書は2通を作成して、売主と買主とが1通ずつ保管するため、売主、買主がそれぞれ1通分ずつの印紙税額を負担するのが基本です。

登記費用

住宅ローンの支払いが残っているマンションの場合には、売却前にローンを完済してから抵当権の抹消手続きを行います。登記費用とはこの手続きにかかる費用です。登記は司法書士に手続きを依頼することが多く、内訳は「登録免許税」と「司法書士への報酬」です。

抵当権抹消時の司法書士報酬の金額は司法書士によって異なり、1万円から3万円ほどが目安です。自分で登記を行う際には、司法書士への報酬は必要ありません。抵当権抹消登記を行う際には、必ず1000円の登録免許税がかかります。不動産ごとにかかるため、土地と建物とでそれぞれ1000円ずつの合計2000円が必要です。

所得税

マンションの売却額が購入費用を上回り、プラスの譲渡所得が発生した場合には、所得税を納付する必要があります。「譲渡所得=収入金額(売却額)-取得費-譲渡費用」の式で計算できます。

取得費とは、マンション購入時の価格と購入時にかかった費用の合計で、建物の購入費用は購入金額から減価償却費を控除して求めます。譲渡費用は、仲介手数料・登記費用などの売却時にかかった費用です。所得税額は、譲渡所得額に税率を掛ける「所得税=譲渡所得×税率」の式で求められます。「9. 確定申告をして税金を納める」で述べた通り、所得税の税率はマンションの所有期間で異なります。

マンションを売却するときの注意点

マンションの売却時には、売却額の査定から媒介契約、売買契約など、さまざまな手続きを行わなければなりません。スムーズに売却するには、あらかじめ売却のタイミングを決めておいたり、査定価格やローンの残債を確認しておいたりといった点に気をつけることが大切です。

売却のタイミングと期間を決める

不動産の売却には3カ月から6カ月程度の時間がかかるとされています。マンションに対する需要が下がる時期であれば、この期間はさらに長くなる可能性があります。中古マンションは2月~3月に市場が活発になるため、需要の多い時期を狙って売却するのがおすすめです。

売却の時期を選ぶ場合、早めに査定の依頼や不動産会社との契約を行うことが大切です。売却するマンションに現在住んでいるなら、引越し先も見つけなければなりません。マンションの査定依頼などの売却準備は、10月ごろからはじめれば、高い値がつきやすく売れやすいタイミングで売却できる可能性が高まります。

査定価格と住宅ローンの状況を確認する

マンションのローンを払い終えていない場合には、マンション購入時に組んだローンの抵当権が設定されたままになっているため、そのまま売却はできません。ただし、マンションの売却代金などを資金にローンの残債を一括返済すると抵当権の抹消ができ、売却が可能になります。

売却代金が低くてローンの残債を売却代金だけで返済できない場合には、残りの金額を自己資金から返済しなければなりません。ローンの残債があるケースでは、売却代金だけで返済できるか、自己資金が足りているかなど、完済が可能かどうかを必ず確認しておきます。住宅ローンの残債は、金融機関のサイトなどで確認できます。

信頼できる不動産会社かどうか見極める

売却を依頼する不動産会社の選び方にも注意が必要です。不動産会社を選ぶ前には、複数の会社にマンションの査定を依頼します。相場よりもかなり高い査定額を提示してくる不動産会社などは、金額に魅かれたとしても選ぶ際には注意が必要です。

高額の査定額で売主にアピールして媒介契約を結ばせる悪質な不動産会社もあります。万が一悪質な不動産会社を選んでしまった場合、高い査定額がつけられていても、最終的には相場よりずっと安い金額で売却が決まったり、売れなかったりなどの問題が生じます。

不動産売買には高額のお金が動くため、仲介業務は信頼できる不動産会社に依頼することが大切です。不動産会社を選定する際には、営業担当者にどのような売買仲介経験があり、何を基準として査定額をつけているのかなどを確認します。インターネットで不動産会社の取引実績や口コミをチェックしたり、宅地建物取引業の免許番号を調べたりするのがおすすめです。宅地建物取引業の免許番号は、()内の数字が大きいほど長い年数経験していることを示しています。

瑕疵担保責任を避ける

不動産売買では、売主が「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」を持つことが定められています。瑕疵担保責任とは、売買後の不動産に傷や欠陥が見つかった場合に売主が責任を負うことです。2020年4月の改正民法によって内容が一部変更され、名称も「契約不適合責任」と変わりました(しかし、いまだに瑕疵担保責任と呼ばれることがあります)。

マンションの売却後でも、買主が事前に知らされていなかった建物の欠陥に一定期間内に気づいた場合には「瑕疵」があったとされ、売主が責任を負わなければなりません。この場合には、買主が損害賠償請求や代金減額請求、追完請求、契約解除などを行う可能性があります。トラブルを避けるために、事前に建物調査を受けておいたり、瑕疵になるのか気になる箇所がある場合には不動産会社に相談したりしておきます。

売却後は確定申告を忘れずに行う

マンションの売却で利益が出た場合には、確定申告をして所得税を納付する必要があります。売却益が出ているにもかかわらず確定申告をしていないと、延滞税・無申告税・重加算税などが課されます。 また、自宅売却時に受けられる「居住用財産の3000万円特別控除」といった特別控除の適用を受けるためにも、確定申告を行う必要があります。

一方、売却益が出なかった場合には確定申告は必要ありません。ただし、申告の必要がない場合でも確定申告を行った方がよいでしょう。マンションの売却時に譲渡損失が出た場合には、特例が適用され、給与などの所得にかかっていた所得税が還付されることがあります。

マンションの平均売却期間と価格

マンションの平均売却期間は3カ月!

東京カンテイの公表している、首都圏のマンション売却に関するデータを見ると、2022年のマンション売買にかかる期間の平均は約3.2カ月で、8割以上が6カ月までに成約しています。

売却価格(取引価格)は時期やエリアによっても異なりますが、2022年下期の首都圏の売出価格の平均は4838万円、取引価格は4568万円でした。売出価格と取引価格とはいずれも2013年から上昇を続けています。

中古マンションの売出・取引価格と売却期間(首都圏)

東京カンテイのデータでは2022年下期の首都圏中古マンション売却の売却期間1カ月以内での価格乖離率は、-2.62%でした。3カ月以内での平均では-3.58%で、最初の3カ月以内に成約した人は4%に満たない値下げで成約したことがわかります。前述の通り、首都圏のマンション売買にかかる期間の平均が約3.2カ月なので、短期間かつ価格乖離の少ない状態で売買した人が多いことがわかります。
一方、近畿圏や中部圏の場合は、首都圏よりも市場規模が限られています。平均売却期間は変動しやすく、3カ月程度から5カ月近くになる場合もあります。

中古マンションの売出・取引価格と売却期間(近畿圏)

中古マンションの売出・取引価格と売却期間(中部圏)

2022年 中古マンションの売出事例と取引事例の価格乖離率|東京カンテイ

マンションを早く売るための2つのコツ

媒介契約期間が3カ月以内であることからもマンションの売却は3カ月前後が目安です。売出開始から3カ月以内に契約を終えることを目的に、売却を進めることが大切です。マンションを早くスムーズに売りたい場合には適正な価格設定が重要です。少しでも早く売却を終えたい場合には、買取を検討することもおすすめします。

1. 適正な価格で値付けをする

適正価格で売り出せば、マンションは売れやすくなります。売出価格を高めに設定してしまうと、いつまでも売れ残ってしまうおそれがあります。ただし、中古マンションの売買では一般的に値引き交渉が入ることが多く、安い価格をつけてしまうと、値引きを行った場合に予定よりも低い価格で売ることになるかもしれません。

自分で相場を確認したうえで、不動産会社にも相談し、相場から大幅に乖離しない、高すぎない価格を設定します。売出価格は、

  • 春や秋などで移動が多い、需要の多い時期か
  • 競合する物件の売出価格はいくらか
  • 購入希望者のニーズにマッチしている物件か

などの点も考慮して設定します。

不動産売却の値付けイメージ

個人で適正価格を割り出すには限界があるため、売出価格の設定には不動産会社の見極めも重要です。マンションの売出価格設定は、マンションの売却を得意とする不動産会社に依頼することをおすすめします。不動産会社は、査定依頼時に価格設定の根拠や内覧のアドバイスなど、納得できる説明をしてくれる会社を選ぶようにします。

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2. 「買取」を検討する

「買取」とは、不動産会社が買主になる売却方法です。不動産会社が仲介して買主を探すケースとは異なり、買主が見つかるまでの期間が短縮されるため、1週間から1か月以内での売却も可能です。

買取には仲介手数料はかからず、契約不適合責任を免責にしてもらえることがあったり、マンションからの引越し時期を売主の希望に合わせられたりといったメリットがあります。ただし買取では、不動産会社がリフォーム後に売却する予定でマンションを購入するため、仲介で売る場合よりも一般的に売却価格は安くなってしまいます。

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◆「仲介」と「買取」のメリット・デメリット

仲介
〈メリット〉
・相場価格で売ることができる
・じっくり時間をかけて売却できる
〈デメリット〉
・希望期間中に売却できないリスクがある
・仲介手数料がかかる
・自宅の内覧などの手間がかかる

買取
〈メリット〉
・希望する時期に確実に売却できる
・仲介手数料がかからない
・内覧が不要なので自宅を片付けなくてよい
〈デメリット〉
・相場価格より低めの価格で売却することになる
・高めの価格で売るチャンスがなくなる

マンションを高く売るための6つのコツ

マンションを高く売るには、不動産の価格の動きを見て「売り」と「買い」の時期を決める、マンション売却が得意な不動産会社や担当者を選ぶ、不動産会社との媒介契約に気をつけるなど、いくつかのコツがあります。

1. 不動産価格が上がっているときは新居購入後に売却する

マンションを買い換えるときに多くの人が悩むのが「旧居の売却が先か」「新居の購入が先か」という問題です。売却を先に行うことを「売り先行」、購入を先に行うことを「買い先行」と呼びます。

マンションを高く売るコツのひとつに「不動産価格が上がっているときは買い先行にする」が挙げられます。理由は単純で、価格が上がっている局面では、売る時期を遅くするほど高く売れる可能性が高くなるからです。反対に不動産価格が下がっている局面では、売り先行にすれば、高く売れることが期待できます。

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しかしながら、相場の動きを読むことは簡単ではありません。現在は上がっていると判断できても、いつ反転して下げはじめるのかは予測が難しいからです。価格の動向は自分だけで判断せず、不動産会社の意見も聞くことをおすすめします。

売り先行と買い先行とにはそれぞれメリットとデメリットがあります。例えば、売り先行は売却したお金を手に入れてから購入するので、新居の予算が立てやすくなります。買い先行では、新居に引越してから売却できるので、売ったあとに賃貸住宅に仮住まいする必要がなくなります。

◆「売り先行」と「買い先行」のメリット・デメリット

売り先行
〈メリット〉
・売却価格が決まるので新居の購入予算を確定できる
・売り急いで値下げなどをする必要がない
〈デメリット〉
・新居を買うまでの間、家賃負担が発生する
・新居をじっくり探す余裕がなくなる場合も

買い先行
〈メリット〉
・新居をじっくり探してから売却できる
・売却後に仮住まいの家賃負担が発生しない
〈デメリット〉
・売却価格が未定なので新居の購入予算を決めにくい
・売り急いで値下げせざるを得なくなるリスクがある

2. マンション売却が得意な不動産会社を選ぶ

ひと口に不動産会社といっても、さまざまなタイプの会社があります。新築マンションの分譲などを手がける大手不動産会社、そのグループ会社で●●不動産販売といった社名の仲介不動産会社、賃貸専門の仲介会社、一戸建てを中心に手がける仲介会社などです。

マンションの売却を依頼する場合、不動産会社はマンション売却が得意な会社を選ぶことが大切です。不動産会社を選ぶ際には、不動産会社の公式サイトなどでマンションの仲介を多く取り扱っている会社かどうかをチェックします。

不動産会社がどのエリアを得意としているのかにも注意する必要があります。売りたいマンションのあるエリアに強い不動産を選べば、買主探しなどが有利になり、スムーズに売却することが可能です。扱っている物件のエリアも事前に確認しておくことをおすすめします。

マンションには、投資用のワンルームマンションや、3LDKなどのファミリータイプ、主に単身者向けの1~2LDKのコンパクトタイプなど、いくつかの種類があります。その不動産会社が多く扱っているマンションのタイプが、自分の売りたいタイプと合致しているかどうかを調べておくことも重要です。

同じ仲介会社でもマンションを売却する売主の物件を多く扱っているのか、購入する買主への紹介が中心なのかという違いもあります。不動産会社がどちらのタイプなのかは、会話を通して日ごろから多くの売主と関わっているのか、などをヒントにして見極めます。不動産会社とある程度付き合っていけば、売却が得意なのか、購入が得意なのかが見分けられるようになってきます。

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3. 知識や経験の豊富な担当者に売却を依頼する

マンションの売却で担当者が果たす役割は重要です。まず、価格査定を行ってもらい、この金額を参考に売出価格を決めますが、その際には周辺相場や市況の動きなどから、担当者に助言をしてもらいます。

売却活動中は担当者に広告やチラシなどで告知をしてもらって購入検討者を探し、物件内覧時に案内してもらいます。チラシを配布するタイミングや範囲、不動産会社による内覧時の物件の説明、さらには購入希望者が現れない場合の価格の見直し、購入希望者が見つかってからの価格や引き渡し時期の交渉など、担当者が行ってくれる仕事は重要なものばかりです。

つまり、マンションを高く売るためのコツのひとつは、マンション売却の知識や経験が豊富な不動産会社の担当者に売却を依頼することです。ただし、マンション売却が得意なはずの不動産会社を選んでも、担当者がマンション売却に秀でているとは限りません。中には知識も経験も不足していると思われる担当者がいるかもしれません。

信頼できない担当者に大切な資産であるマンションの売却を託すのは不安です。そのような場合は担当者を変えてもらうよう、店長などに交渉することをおすすめします。それが難しい場合は、その不動産会社に売却を依頼するのを考え直すことです。

4. 査定価格が高すぎる不動産会社は選ばない

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マンションの売却は価格査定からはじまります。まずは、複数の不動産会社に簡易査定を依頼します。依頼後、見積もりをもらった中から数社を選んで訪問査定をしてもらいます。

不動産会社からはマンションの査定価格が出されますが、査定額は会社によって高かったり安かったりと幅があります。売主側は、できるだけ高く売りたい気持ちから、高い査定価格を出した不動産会社を選びたいかもしれませんが、査定価格が高いだけで選ぶのは得策とはいえません。

不動産会社は査定価格を高めに出せば、売主に選んでもらいやすくなるとわかっているため、あえて高額の査定をつけることがあります。中には相場とはかけ離れた、売れそうにない高い金額を出してくる不動産会社もあります。こうした場合、しばらく売却活動を行ってから大幅な値下げを提案してくることもあります。このような不動産会社を選んでしまうと、売却期間が無駄に長期間に及んでしまい、売却額も低くなってしまいます。

したがって数社の不動産会社から出された査定価格をチェックする際には、その価格を設定した根拠までしっかりと説明してもらうことが重要です。同じマンションの別の住戸の最近の取引価格や、周辺相場の動向などを根拠とした、明快な説明で納得できる内容だった場合には、査定価格が多少高く感じたとしても、信頼できる不動産会社である可能性が高くなります。

しかし、査定価格がむやみに高く、説明を求めても「私どもにおまかせください」などと、あいまいな回答しかしない会社は、適正な見積もりをせずに、信頼できない会社である可能性が高いと考えられます。

5. マンション売却の依頼は専任媒介が一般的

不動産会社にマンション売却を依頼する際には、媒介契約を結びます。媒介契約は「一般媒介契約」と「専任媒介契約(専属専任媒介契約も含む。以下同)」に分けられます。

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一般媒介契約と専任媒介契約の最大の違いは、一般媒介契約が同時に数社の不動産会社と契約して依頼できるのに対し、専任媒介契約は1社としか契約できない点です。不動産会社にとっては、専任媒介契約で契約してもらえば、マンションの売却時には売主から確実に仲介手数料がもらえるというメリットがあります。そのため不動産会社への売却の依頼では、専任媒介契約での契約を求められることが一般的です。

売主にとっても、専任媒介契約で売却を依頼した方が、自分のマンションの売却活動に専念してもらえるなど、早く高く売れるといった期待ができます。専任媒介契約には不動産会社間の情報ネットワークであるレインズ(不動産流通機構)に物件情報を登録する義務があるため、広い範囲の不動産会社から購入希望者の情報を得られる点もメリットです。

しかし、専任媒介契約では1社の不動産会社としか契約を結べません。契約期間中はほかの不動産会社に依頼することはできず、契約した会社の売却活動に頼るしかありません。

一方で一般媒介契約は、同時に1社に縛られず不動産会社と契約できるため、それだけ購入希望者を見つけるチャンスが広がったり、相場が上昇気味のときなら各社の競争で高く売れたりする可能性が高まります。

どちらの媒介契約を選ぶかは、メリットとデメリットをよく理解して決めるようにしてください。

◆「一般媒介契約」と「専任媒介契約」のメリット・デメリット

一般媒介契約

〈メリット〉
・広い範囲から買い手を探すことができる
・不動産会社の競い合いで買い手が早く見つかることも

〈デメリット〉
・不動産会社が熱心に取り組まない場合がある
・レインズに登録されないと買い手が見つかりにくいことも

専任(または専属専任)媒介契約

〈メリット〉
・仲介手数料を確実に稼げるので不動産会社が熱心に取り組みやすい
・レインズに登録されると買い手が見つかりやすくなる

〈デメリット〉
・契約した不動産会社の能力に左右される
・契約期間中は依頼する不動産会社を変えられない

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6. 査定価格より少し高めの価格で売り出す

マンションを高く売るための6つめのコツは、ずばり高めの値付けをすることです。といっても、売出価格が高すぎると購入希望者がなかなか現れず、売れないまま長い期間が過ぎてしまうことにもなりかねません。相場と比べても、無理のない「少し高め」程度の価格を設定することがおすすめです。

どの程度が「少し高め」かというのは、マンションの条件や価格帯、相場の動きなどもあるため一概にはいえません。例えば眺望が特別によいなどの希少価値が高いマンションの場合には、はっきりとした強みがあるため、高い価格で売り出せます。

相場が上昇傾向であれば、高めの値付けでもすぐに売れることがあります。逆に下落傾向のときに高い値付けをしてしまうと、売りにくくなってしまいます。このあたりのさじ加減は個人では難しいため、プロである不動産会社の担当者に相談してから、最終的な価格を決める必要があります。

売却活動が適切に行われているにもかかわらず、なかなか買い手が見つからない場合には、価格の見直しも必要です。価格を下げる場合には、100万円ぐらいずつ小刻みに下げていると、「まだ下がるのでは?」と勘ぐられてしまう可能性があります。値下げをする場合には、何度も下げるのではなく、ある程度まとまった金額を下げる形で行います。この方法の場合には、値下げ後にすぐ購入検討者が現れて、売却にまで至ることも少なくありません。

どの時期に見直しを行い、いくらまで価格を下げるべきかも、不動産会社の担当者に相談してから売れやすい方法を選びましょう。

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【Q&A】マンションの売却に関するよくある質問

マンションの売却で失敗しないために、実際に高く売れたケースなどをQ&A形式で紹介します。

マンション売却で儲かった人のコツは?

マンションの売却で儲かった人は、高額で売るためのコツを押さえて売却活動を行っています。自分でもあらかじめ過去の売却事例や相場を調べておくことで不動産会社の査定が妥当な金額か判断できると、不動産会社選びや適正な売出価格をつける際の役に立ちます。

マンション売却までにかかる期間の平均は約3カ月です。マンションが高く売れたケースでは、多くが売却期間を3カ月以上に設定して、高く売れやすい時期に焦らず、ゆとりを持って売却活動を行っています。売却を急いだ場合には、幅広く宣伝できない、早く売るために売出価格を下げなければならないなどの問題から、高く買い取ってもらえる買主を見つけることが難しくなります。

物件の内覧で購入希望者に好印象を残す工夫をすることも、高額での売却につながりやすいコツのひとつです。内覧者が家の中を見て気に入ってくれた場合、値下げ交渉なしでの売却も可能になります。水回りを中心に掃除しておく、不要なものや家具を捨てて部屋を広く見せるなどの工夫で、内覧時によい印象を与えられます。

築年数が経過した中古マンションでも売れる?

一般的にマンションは購入後1年で価格が急落し、購入から10年までの間に比較的大きく価格が下がります。その後は20年目くらいまで比較的緩やかな曲線で価格が低下し、21年目からは急激な値崩れがなく、緩やかに価格が下がり続ける傾向があります。

築年数が経過した中古マンションの場合、状態によっては売却価格が大幅に下がる場合があるものの、大規模修繕などがきちんと行われていれば、室内をクリーニングするなどの工夫で高く売ることも可能です。また、マンションの立地が駅に近いなど周辺環境にメリットがある場合や、周辺エリアの開発状況次第で、売却時の価格が下がらず、高く売れることがあります。

マンション売却におすすめのタイミングはいつ?

マンションの売却には、2月~3月の引越しシーズン前の時期がおすすめです。4月の進学や就職、転勤などを控えた2月~3月は、ほかの月に比べて引越しをする人が多いため、中古物件も売れやすくなる時期です。このタイミングでマンションを売りに出すには、12月から1月ごろに不動産会社との媒介契約まで結んでおきます。

一方、1月や8月はマンションが売れにくい時期にあたるため、時間に余裕がある場合には時期をずらして売れやすい時期に売り出す方が高く売れやすくなります。マンションには外壁塗装や設備の入れ替え・修繕などを実施する大規模修繕があるため、大規模修繕後の外観がきれいになったタイミングも売却に最適です。

まとめ

マンションの売却で失敗しないためには、自分で周辺の価格相場を確認してから複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが重要です。高すぎず、低すぎない売出価格を設定することによって、スムーズな売却につなげられます。

マンションの主な売却活動は不動産会社が行ってくれます。売主は内覧のために室内を明るく清潔な雰囲気にするなどの工夫や、自分の引越しなどの準備が必要です。売却成立までの期間や売却価格などを事前に決めておき、計画的に売却活動を進めれば、希望通りの価格で売却できる可能性が高まります。

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イラスト/キットデザイン

●構成・取材・文/大森広司
住宅系シンクタンク・オイコス代表。住宅ジャーナリスト。SUUMOなど多くの住宅系メディアで取材・執筆などを行う
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